連載コラム

2017/09/30

パラスポーツを皆で

 幼稚園の頃、川柳を書くという宿題がありました。「あるきたい、いつかみんなと、はしりたい」。この一句だけは、今でも記憶に残っています。20年以上経った今も、歩きたいという思いは変わっていません。心の奥底にこびりついていた未練を、私は一枚ずつ剥がしてきました。車いすをこぎながら恋人と手を繋いだり、自身の視点を活かした事業を立ち上げたり、歩けなくてもできることが少しずつ増えていきました。それでも、自転車に乗りたい、皆と一緒に走りたい、そんな思いがふと脳裏をよぎっては、どうしようもないことなのだと自身に言い聞かせました。
先日、そんな私の心が晴れる出来事がありました。社員とともに運動会に参加したときのことです。「あすチャレ!運動会」という、パラスポーツで競うものでした。競技用車いすに初めて乗る社員たちに、私がコツを伝えました。一人ひとりが全力で車いすをこぎ、たすきを繋ぎました。ともに歓声をあげる中、「社長がこぎ方を教えてくれたからです」と言ってくれた社員がいました。その時、私は生まれて初めて、皆と走った感動を覚えました。
 足で歩けない人生に、誇りを持って生きようと新たなスタートラインに立った心地でした。

関連記事