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インタビュー

松岡宗嗣さん
本気で考えてみよう 家族、愛、人との絆。松岡宗嗣さん ALLY WEEK NETWORK代表

第67回ベルリン国際映画祭で2月17日(日本時間18日)、優れたLGBT映画を対象にした特別賞と観客賞をW受賞した映画『彼らが本気で編むときは、』が、公開中です。そこで、昨年のLGBT特集でお会いした松岡宗嗣さんに、自身の経験と合わせて映画の感想を聞きました。皆さんもぜひ大切な人と劇場に足を運び、人と人が本気で向き合うことや、家族のあり方について考えてみませんか?

「違い」に寛容になれれば、
誰もが誰かの味方になれる。

一番身近な人の言葉
「大丈夫だよ」の力

トランスジェンダーが主人公の映画ということで、絶対に見たいと思っていました。実際に見てみて、考えさせられたのは愛について。セクシュアルマイノリティに関することだけでなく、人と人の向き合い方、家族のあり方も語りかけている作品でした。なんといっても主人公リンコさんのお母さんがすごかった。リンコさんの優しさや強さの源には、一番身近な存在であるお母さんの「大丈夫だよ」という一言がある。その存在は、自分自身の母親と重なりました。
「男の子のことが好きだ」と、自分で気付いたのは小学校5、6年のころ。母親にカミングアウトできたのは大学に入ってからです。でも母は、幼稚園の頃から「息子はもしかしたら…」と思うことも多かったそうです。それでも、色んな想定をしながら、ただただ自分から言い出すのを待っていてくれました。「いつでも話していいんだよ」という布石を打ってくれていたから、自分はカミングアウトできた。戻れる場所がある、全部を受け入れてくれる人がいる、そう思えたことが自信につながりました。
映画の中のマキオさんの言葉も印象的でした。姪っ子のトモちゃんに「なぜリンコさんとつきあってるの」と聞かれ「僕の一目惚れです」と言うシーン。男とか、女とか「あとのいろいろなことは、どうでもいいんだよ」というマキオさんのセリフは胸に響きました。
カミングアウト前の自分は、ゲイであることをキャラにしてごまかしていました。自分から笑いに変えて「みんなが笑顔になってくれればいい」と思ながらも、将来への不安を抱えていました。東京の大学に進むタイミングで地元の仲間に思い切ってカミングアウトしたら「セクシュアリティがどうであれ、宗嗣は宗嗣」と言ってもらえ、とてもうれしかった。僕にとっての彼らのような存在、リンコさんにとってのマキオさんみたいな人が増えたらいいなと思います。

10年後の「家族」に
勇気と希望をくれる映画

トモちゃんとリンコさんの関係も素敵でした。とても素直な子で、初対面での戸惑いは当然だし、心が通い合ってきたら「触ってもいい?」って言ったり、体のこともズバリ聞く。LGBTだからタブーなのではなく、大切なのは人としてのモラル。親しくなりお互い大切に思うからこそ、気になることはちゃんと聞く。すごく自然で、心の通った温かい笑いが随所にあった。海外のLGBT映画って、重く悲しいものも多いんですけど、この映画は幸せな気持ちで誰かと話したくなりますね。例えば「10年後はどんな社会かな」、「親としての役割って性別は関係ないのかも」、「2人じゃなくもっと大勢で役割分担してもいいのでは」など、これからの家族のカタチや子どもを持つことについて考えていたので、勇気をもらいました。
LGBTを支援する人を「ALLY(アライ)」といいます。味方という意味です。2015年12月、ファッションを通してALLYを増やせたらと「MEIJI ALLY WEEK」というキャンペーンを開催しました。この活動を他の大学やさまざまなコミュニティに広げていけたらと思っています。
リンコさんにとってお母さん、マキオさん、トモちゃんはALLY。ゲイである自分も色んな違いに対してALLYでありたい。そんな風に自分以外の誰かの味方になれる人が増えていくことを目指していきたいです。

【プロフィール】1994年、愛知県名古屋市生まれ。明治大学政治経済学部4年。オープンリーゲイの大学生として、2015年、LGBT支援者であるAlly(アライ)を増やすキャンペーン「MEIJI ALLY WEEK」を主催。この運動を全国の大学に広めることを目指し活動中。