インタビュー

2016/10/10

ないものを嘆くより、あるものに感謝しよう。

プロゴルファー PGAティーチングプロ

小山田雅人氏

 「右手がないのは生まれつき」そう思っていた。不便に感じたこともなく、野球、サッカー、陸上もやった。“うまくなりたいなら、左手で人一倍努力しろ”父の厳しい愛に応え、野球部でピッチャーとして活躍すると、取材が相次ぐ。「小6のとき、取材記事を読んで初めて知ったんです。2歳のとき事故で右手を無くしたって」と、屈託なく笑う小山田雅人さん。

 高校でも迷わず野球部に入部したが、自分だけマスコミに注目されることが納得できず、チームを離れた。個人種目であるゴルフにひかれ本格的に始めたのは19歳のとき。健常者と競いトップアマとして活躍、障害者ゴルフの世界では、2005年の世界大会「前腕切断部門」優勝。

 だがその年、新たな困難が小山田さんを襲う。脳腫瘍で左側頭葉の約7割を喪失。体力も筋力もごっそり落ち、記憶も一部失った。 「しょうがない!残った脳を使って新たに覚えていこう」。不屈の精神でゴルフを再開、次に目指したのはプロテストだった。「病気をしたこと、子どもが生まれたことで、娘の記憶に残る生き方をしたいと思ったんです」。その言葉通り、2012年実技試験合格、翌年学科試験合格、2014年日本プロゴルフ協会の会員となる。ところがその直後、心筋梗塞で倒れ、半年間ゴルフは禁止。さすがの小山田さんも打ちひしがれた…のは一週間。「ゴルフはできなくてもトレーニングはできる!」と、理学療法士に筋トレメニューを依頼し、復活を遂げた。

 来年50歳になる小山田さんの新たな目標は、シニアツアーデビュー。健常者と同じ世界でプロとして闘いながら、ゴルフがパラリンピック正式種目に認められる日を目指す。「私がプロの大会に出ることで、障害者ゴルフも話題になればうれしい」。講演会では、気軽に義手を外して見せもする。「私もいろいろな人と触れ合う中でオープンにできるようになったので」と、自らが障害者と自然に接するきっかけになることを願う。

第2回世界障害者ゴルフ選手権

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8/16〜18、米国オレゴン州で開催された本大会で、日本は団体3位。小山田さんは個人総合7位、部門別(腕切断)で見事1位!「日本とは違うアメリカの芝に苦戦。同じ様な環境で練習することが必要だと実感しました。更に技術を磨き、総合優勝を目指したいと思います」。

プロフィール

1967年栃木県生まれ。2歳で事故により右手切断。19歳でゴルフを始め、2014年日本プロゴルフ協会入会。05年脳腫瘍発症。15年までに障害者世界大会部門別5回優勝。

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