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レポート

2017/07/28

知らない人とも声をかけあえる文化を

外苑前会場のスタッフと志村さん(前列中央)

interview 暗闇の中、視覚障害者のアテンドでさまざまな体験をするプログラム「ダイアログ・イン・ザ・ダーク*1」。8年間で延べ17万人以上が訪れた外苑前会場が、8月一杯でクローズする。代表理事を務める志村季世恵さんに、今の想いを聞く。

暗闇の中で出会ったあの感覚を忘れないで

ダイアローグ・ジャパン・ソサエティ
代表理事 志村季世恵さん(しむらきよえ)

1962年生まれ。90年よりカウンセラーとして活動、クライアント数は延べ4万人超。99年より「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」の運営に力を注ぐ傍ら、カウンセリングや末期がん患者へのターミナルケアを行う。ダイアログ・イン・ザ・ダークのHP

「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」が日本で初めて開催されたのは18年前、2日間限定でした。私は、暗闇から出てきた方に感想をお聞きする役割で参加したのですが、泣きながら出てくる方が何人もいて、一人の女性が「私は人が好きだったんだって気付いて泣いてます」とおっしゃったんです。 地方から東京に出てきた大学生で、毎日通学の満員電車で人とぶつかり合い、いつの間にか自分も舌打ちしたりしていたけど、暗闇の中で人にぶつかったとき「人がいて良かったと思えた。そう思えた自分が好きだ」と。私が普段行っているカウンセリングは、自分のことを好きになれたときが卒業間近のサインなんです。この暗闇は90分で自分を取り戻せる装置、絶対に常設でやらなければと思いました。

完全な暗闇を作れる物件探しは大変でした。視覚障害者が10人以上働くとお伝えすると、何かあったら大変だからと断られ、やっと巡り合えたのが外苑前会場です。本国ドイツのオリジナルコンテンツを、行政や企業のサポートなしに再現することは不可能でしたので、日本独自のコンテンツを考えました。一番大切にしたのは「本物」。日本人は五感が豊かなので、本物の植物、秋には落ち葉の香り、そういうものを大事にしました。 暗闇の中では素敵なことがたくさん起こりました。にぎやかな小学生の団体が担任の先生に「静かにしろ」と𠮟られながら入っていったと思ったら、出てくるときには先生が一番後ろからついてきて「子どもたちがこんなに頼りになるとは思わなかった」。暗闇の中では既成概念が消え、人と人が出会い直せるのでしょうね。その感覚は記憶に残り大きな力になるはずです。

私たちが作りたいのは暗闇ではなく、明るくても声をかけあえる文化。外苑前の契約更新が折り合わず去ることになりましたが、新たなチャレンジのとき。人と関わること、人を信じることをあきらめず、必ず成長して再出発します。8年間アテンドスタッフが通った外苑前や千駄ケ谷では、街の人たちのやさしさを感じました。点字ブロックの上の雪かきや、沿道の植木鉢や自転車の向きに、さりげない配慮を感じたり。コンビニの店員さんたちの絶妙なサポートで、アテンドがお弁当を買って帰ってくるのも驚くほど早くなったんですよ。障害のある人が街に出ることで、こんなにも素敵なことが起こるということも知ってほしいです。

※1:ダイアログ・イン・ザ・ダークとは? 続きを読む 1988年、ドイツの哲学博士アンドレアス・ハイネッケの発案によって生まれた、暗闇のソーシャルエンターテインメント。参加者は数人のグループを組み、完全に光を遮断した空間の中を探検する。暗闇のエキスパートである視覚障害者のアテンドにより、さまざまなシーンを体験する過程で、視覚以外の感覚の可能性に気付き、コミュニケーションの大切さ、人のあたたかさなどを思い出す。これまで世界39カ国以上で開催され、800万人を超える人々が体験。何千人もの視覚障害者を、アテンド、ファシリテーターとして雇用してきた実績も持つ。

ダイアログ・イン・ザ・ダーク
アテンドスタッフ
檜山 晃さん

トンネルの先の世界へ 友だちとして来た2人が、恋人同士になって来て、結婚してまた来てくれたり、知らない同士がここで出会って結婚したり、そんな奇跡をたくさん見てきました。暗闇で体験した感覚を、忘れないで。トンネルを抜けて、元の場所に戻るのではなく向こう側へ行くような感覚で、光の中でもやってみようと思ってもらえたらうれしいですね。

※当案件につきましては、8月31日を持ちまして一旦クローズします。
再出発を目指して、8月9日からクラウドファンディングを開始しました。
皆様の暖かいご支援をおまちしております。
詳細はこちらから