レポート

2017/12/01

沖縄県が取り組む「観光バリアフリーセミナー」

沖縄県では、「誰もが安心して楽しめるやさしい観光地」を目指して、県全体で様々な受け入れ体制の整備を推進しています。その一環として開催しているのが、観光事業に携わる人たちを対象とした「観光バリアフリーセミナー」です。11月上旬に那覇空港と琉球大学で開催されたセミナーのレポートをお届けします。

すべての人を出迎える沖縄の玄関口「那覇空港」
11月8日に空港関連事業者を対象とした「観光バリアフリーセミナー」が那覇空港で開催されました。このセミナーには、国内・海外航空会社の職員、空港内のテナント事業者など約40名が参加。視覚障害者の桐原好枝さんが盲導犬のルート君と共に講師として登壇し、空港内や機内での好ましい介助方法を実演。また、盲導犬のルート君との生活の様子を紹介。「盲導犬は常に綺麗で清潔」と盲導犬への理解を呼びかけました。

那覇空港ロビーにて高齢者疑似体験中の空港スタッフの皆さん


続いて登壇したのは那覇空港内で10年にわたり「しょうがい者・こうれい者観光案内所」を運営しているバリアフリーネットワーク会議代表の親川修さん。「那覇空港は国内で最もバリアフリー化が進んでいる空港の1つ」と空港内にあるバリアフリー設備を紹介し、利用方法についても解説。また、「大切なのは障害を正しく理解し、相手の立場に立って一緒に考え工夫すること」と話しました。参加者の一人は「空港内に設備があることは知っていたが、使い方までは知らなかった。必要な方を見かけたら次からは案内することが出来る」と話してくれました。実技では参加者が高齢者疑似体験キットを装着し、障害者や高齢者が空港内でどのような時に困るのかを実体験。少しの段差でも足を持ち上げるのが大変で疲れやすいこと、声掛けやサポートの必要性など、多くの気付きがありました。

これからの観光を担う学生たちとの学び
11月10日に県内の大学生・専門学校生を対象とした「観光バリアフリーセミナー」が琉球大学で開催されました。このセミナーには、沖縄県内の観光事業を志す大学生・専門学校生約40名が参加。セミナーの冒頭、琉球大学産業観光科学部の荒川雅志教授から、「沖縄県は平成19年に『観光バリアフリー宣言』をし、国内でも先進的なバリアフリー観光地。皆さんはそのフロントランナーとして将来働く人たち」とエールを送られました。

車いすの誤った介助方法が、いかに危険かを体感


講師の親川修さんは、講義で観光バリアフリーの重要性や県内のバリアフリーに関する取り組みを紹介。また実技では、高齢者疑似体験キットと車いすを使用した介助方法を実践し、対応のポイントや基礎を教えました。車いすを使用した介助方法を学んだ学生は「誤った介助方法はとても危険に感じた。正しい介助方法を習得することで、安心してサポートできるようになりたい」と話してくれました。また、高齢者疑似体験ではキットをつけて校内を移動。「いつもと違い、教室の扉が開け辛い。自動的に閉まる引き戸は高齢者にとって開けるのは難しいと実感した。こうしたところにも手助けが必要だと気付けた。」と学生たちは障害を正しく理解する上で大切な事を、それぞれに学び取っていました。

観光に携わるさまざまな人たちに、このようなセミナーを実施している沖縄県。これまで「旅行に行きたいけれど不安のほうが大きくて…」とためらっていた人や、高齢を理由に「もう旅行はやめておこう」とあきらめてしまった人も、ぜひ沖縄県への旅行を考えてみませんか?

◆沖縄県観光バリアフリー・ポータルサイト
バリアフリーOKINAWA こちらから
沖縄県 文化観光スポーツ部 観光整備課
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取材協力/株式会社オリエンタルコンサルタンツ

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