シンポジウム

2023/09/25

シンポジウム「みんなのミカタ 〜誰もが暮らしやすい社会のために〜」レポート【前編】

ちょうど1年後の2024年925日に東京新聞は140周年を迎えます。その記念事業の一環として、8月13日に、シンポジウム「みんなのミカタ 〜誰もが暮らしやすい社会のために〜」が日比谷図書文化館大ホール(東京都千代田区)で開催されました。約100名の参加者とともに共生社会の実現について考えた当日の模様をご紹介します。

第1部 当事者の声をお伝えします

環境、意識、情報のバリアフリーを

株式会社ミライロ 代表取締役社長 垣内 俊哉氏

垣内俊哉(かきうち・としや) 2010年株式会社ミライロを設立。「ユニバーサルマナー検定」などの事業を展開。

 私は生まれつき骨がもろく折れやすいため、幼少期より車いす生活を送っていましたが、あるとき「歩けないからできること」があると知りました。学生時代、ウェブ制作会社でアルバイトを始めたのですが、私が命じられた仕事は「営業」でした。一生懸命回るうちにお客様は車いすで何度も通う私を覚えてくださり、営業成績はトップに。上司からは「車いすは君の強みだ」と言われました。その後、障害を価値に変える「バリアバリュー」を理念とし、株式会社ミライロを設立しました。

 「障害」とは社会に存在するバリアのことで、「環境」「意識」「情報」の3つバリアがあります。環境のバリアフリーはもちろん必要ですが、「ハード」とともに「ハート(意識)」も変えていくことが大切です。私たちは障害者や高齢者と向き合う際のスキルを「ユニバーサルマナー」と定義し、広めようとしています。一例を挙げると、公共交通機関で移動に困っている方に「大丈夫ですか?」と聞くと「大丈夫です」と言われがちですが、「何かお手伝いできることはありますか?」と聞けば、相手も答えやすいですよね。

 情報のバリアとは、障害のある方に必要な情報が届かないこと。本日の講演では手話通訳が入っていますが、情報バリアフリーのために、手話も大切な言語です。近年では、スマートフォンの画面読み上げ機能など技術も進化しています。ハードもハートも世界に誇れる社会を皆さんとともにつくっていけたらと思っています。

 

誰もが何かのマイノリティ 違いを認め合える社会に

株式会社JobRainbow 代表取締役CEO 星 賢人氏

星賢人(ほし・けんと) 2016LGBT向けの就職情報サイト「Job Rainbow」を立ち上げる。現在66万人と500社が利用する総合人材サービスに成長。

 国内において、LGBT※と呼ばれる性的マイノリティは11人に1人の割合でいるといわれています。私はこの中の「G(ゲイ)」になります。大学時代、トランスジェンダーの先輩が就活時に面接で自身のことをカミングアウトしたら不採用になり、就活自体を諦めました。私は多様な人材が活躍できる社会に変えていきたいと、2016年に株式会社JobRainbowを設立。LGBTなど多様性のある人材と企業を結ぶ採用マッチング事業などを行っています。

 求職時に困難を感じたという人は、非当事者が6%に対して、LGBが44%、Tが70%というデータが出ています。しかし、性的マイノリティだけでは社会を変えることはできません。この機に皆さんにもぜひLGBTの「アライ(理解者)」になっていただきたいです。LGBTの味方になりたい、そう思った時点でアライですので、一歩踏み出していただけると嬉しいです。

 近年、メディア等では「LGBTQ+」と表記されることが増えましたが、「Q+」はLGBT以外にも多様な性のあり方が存在することを意味しています。もう一つ、お伝えしたいのは「誰もが何かのマイノリティ」ということです。自分がマイノリティだと思っていなくても、何か弱みや人に話せないことはあるはずです。そのマイノリティ性を受け止めることで、互いの違いを認め合うことができるのではないでしょうか。大切なことは、一人ひとりを理解しようとすることだと思います。

※L=レズビアン(女性同性愛者)/G=ゲイ(男性同性愛者)/B=バイセクシュアル(両性愛者)/T=トランスジェンダー(生まれた時の性別と性自認が異なる人)

シンポジウム第2部「日々の取材を通して思うこと」のレポートはこちらから

 

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