熊本地震で被災された方々に
心よりお見舞い申し上げます

知っていればできる災害時の助け合い

熊本地震発生から1カ月半。いまだに余震は続き、多くの方が避難生活を余儀なくされています。その中で高齢者や障害者など自由に移動できない方々への配慮の必要性も高まっています。この特集では「どのような配慮が必要なのか」を簡潔に、イラストとともにわかりやすく紹介します。

今すぐチェック! 災害時のユニバーサルマナー

  • ● 車いす利用の方が避難所で困ること

    車いす利用の方が避難所で困ること

    移動のサポートが必要

    階段など、持ち上げて運ぶ際は3名以上で安全に行う。

    広いスペースが必要

    特にトイレや着替えの際は広めの空間を確保する。

    長時間同じ姿勢でいると危険

    床ずれの原因になるため、寝返りの介助やクッションの用意を!

  • ● 視覚障害のある方が避難所で困ること

    視覚障害のある方が避難所で困ること

    誘導のサポートが必要

    視覚障害者の半歩前に立ち、腕を持ってもらい歩きます。

    掲示板の情報が読めない

    声に出して、読み上げて情報伝達を行います。

    周囲の状況がわからず不安

    困っていても助けを求められないことも。迷ったら声がけを!

  • ● 聴覚障害のある方が避難所で困ること

    聴覚障害のある方が避難所で困ること

    館内放送が聞こえない

    放送の内容は紙に書き出して、掲示する。

    危険の察知がしづらい

    車のクラクションや声に反応しづらいので、注意して見守る。

    周囲の状況がわからず不安

    筆談、口話(口の動きをゆっくり見せる)など別の方法で伝達。

  • ● 知的障害のある方が避難所で困ること

    知的障害のある方が避難所で困ること

    複雑な説明が理解しづらい

    ゆっくり丁寧に、具体的でシンプルな説明をする。

    否定・注意がわからない

    「〜したらだめ」ではなく「〜しましょう」と行動を促す。

    パニックを起こしやすい

    いきなり体に触れたりするのではなく、優しく声をかける。

  • ● 精神障害のある方が避難所で困ること

    精神障害のある方が避難所で困ること

    環境の変化に馴染めない

    ついたてや静かなスペース等、落ち着ける居場所を確保する。

    コミュニケーションが苦手

    不安やストレスが原因で、一人で抱え込んでしまう方も。

    パニックを起こすことがある

    優しく声をかけ安全な場所に移動するか、落ち着くまで見守る。

  • ● 内部障害のある方が避難所で困ること

    内部障害のある方が避難所で困ること

    外見からは理解を得づらい

    本人と必要なサポート方法をていねいに確認する。

    体調の変化体力低下が激しい

    横になれる場所や、静かなスペース等を用意する。

    医療器具薬剤が必要な方も

    人工臓器を利用している方もいるので、必要物資を要確認。

災害時のユニバーサルマナー

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災害時、避難所で
障害のある方が困ること

避難所などで自力で移動ができない、困っていても助けを求めづらい人もいます。そこで、HEART & DESIGN FOR ALLと株式会社ミライロでは、協働で【今すぐチェック!災害時のユニバーサルマナー】というコンテンツを緊急作成、フェイスブックとツイッターで順次発信中です。ぜひシェアしていただきたい情報です。避難所の掲示板や公共施設、職場や地域で、どんどん拡散してください。非常時だけでなく日常においても役立つマナーです。知っていれば誰にでもできることがたくさんあります。

熊本地震における
障害者・福祉用品支援の活動報告

株式会社ミライロ 広報部長
岸田奈美氏

 4月14日に発生した熊本地震を受け、ミライロでは2度にわたり現地への物資支援を実施。第1回は、4月25・26日。九州営業所(福岡市)から2名のスタッフが、がれきに強いノーパンク車いすやステッキなどの福祉用品を益城町災害対策本部に届けた。その後、車いす利用者の避難を積極的に受け入れている熊本学園大学を訪問。障害者が何に困っているかを、サポート担当者にヒヤリング。「つえを自宅に置き忘れた方の移動が困難」「一人でトイレに行けない方は水を飲まずトイレを我慢しがち」「床ずれ防止のため寝返りをサポート」などの声を聞くことができた。

 第2回は5月23日、日本財団の助成事業として実施、熊本学園大学ほか3カ所を訪問。同大学では、社会福祉学部を中心とした学生ボランティア60人体制で独自に避難所を開設、約30人の高齢者、障害者を含む700人余りを受け入れ、現在も約20人が避難生活をおくる。この日は避難訓練が行われ、障害のある学生20人を含む約3000人が参加。今回の地震で直面した「電動車いす利用者の避難方法」として、各フロアに設置された手動車いすに乗り換え、4人で担いで降ろす訓練を行った。障害のある学生の受け入れを先進的に行っている同大学では、施設だけでなく学生や教職員にもユニバーサルな意識が根付いていたことから、今回の支援が実現したと考えられる。