連載コラム

2018/06/05

垣内俊哉「106cmの視点から」 

一ミリ、一音、一色

 ミライロが運営しているサービスに、自分とは違う誰かの視点に立ち、適切な理解と行動を学ぶ「ユニバーサルマナー検定」があります。2013年8月に開始してから今まで、講義で使用している資料の改訂は30回以上に及びました。より良くするために変えているのは内容そのものではなく、ほとんどは資料のデザインに関することです。講義で正しいことを一生懸命伝えたからと言って、ユニバーサルマナーを実践してもらえるわけではありません。聞き手が他人事ではなく、自分事として捉えることができた時、行動が起こると考えています。講義の聞きやすさ、見やすさ、伝わりやすさも、自分事として受け入れられる大切な要素です。

 視覚障害のある社員が入社すれば、文字の大きさやフォント、色覚異常のある人でも判別しやすい色使いを考えました。聴覚障害のある社員が入社すれば、音声に頼らない情報提供や、聞き取りやすい言葉を考えました。新たな視点は、新たな表現を生みます。障害のある方にとっても快適な講義を突き詰めていけば、皆にとって快適な講義になるのです。たった一ページの、一ミリ、一音、一色にこだわる。それを続けた先に、私たちの考えるユニバーサルデザインがあります。


●PROFILE● 垣内 俊哉
1989年生まれ。岐阜県中津川市出身。2012年立命館大学経営学部卒業。在学中2010年に株式会社ミライロ設立。

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