連載コラム

2018/05/02

垣内俊哉「106cmの視点から」

未来の選択肢

 「誰もが、自分らしく生きられる環境を作りたい」と、彼(写真右端)が入社したのは2015年。身体は女性、心は男性として生きてきたトランスジェンダーの当事者です。営業として駆け回る傍ら、LGBTへの認知と理解を広げるための研修を自ら考案し、結婚式場やホテルで講師として活躍しています。幼少期から性のさまざまな壁にぶつかりながらも、優しく明るい人柄の彼が、人事部長の役職に就いてくれたのは必然であったと思います。そんな彼から、パートナーにプロポーズをしたと報告を受けた時は、我がことのように喜びました。しかし現実は厳しく、パートナーのご両親から強く反対されたそうです。

 私の病気は遺伝性です。それを知りながら結婚し、私と弟を生んだ父母の覚悟に人間的な強さを感じています。私が将来、結婚をするかはわかりませんが、パートナーや子どものために、どのような選択肢も選べる状況を作っていきたい、ということだけは決めています。

 形や言葉にとらわれず、自分と大切な人が、互いに納得できる答えを探し出せる、そのプロセスが大事だということを彼らから学び、彼らの未来に心からの応援を送りたいと思ったのです。


垣内俊哉
1989年生まれ。岐阜県中津川市出身。2012年立命館大学経営学部卒業。在学中2010年に株式会社ミライロ設立。

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