連載コラム
2018/09/10
垣内俊哉「106cmの視点から」
災害時、命を救うのは“慣れ”
目の前に、階段があるとします。車いすを安全に運ぶには、何人必要でしょうか?望ましいのは3人か4人。車いすの前方を2人、後方を2人で担ぐと安定しやすいからです。ただし、災害など緊急時には、十分な人数がいないかもしれません。その場合、2人で担ぐこともできますが、車いすの幅や重さによって、持つ人の位置も、必要な人数も変わります。障害のある人に関する
¬知識がなにもないと、日常でも積極的に向き合えず、いざ有事の際にうまく手助けができないこともあります。それは障害のある人自身も同じで、どんなサポートが必要かを、うまく伝えることも必要です。
東日本大震災の復興支援に関わらせていただく中で、聞いた話です。津波が起きた時、車いすに乗っているご高齢の女性が、安全な場所へなんとか逃げきることができたそうです。避難する時、車いすを押したり運んだりしたのは、中学生の男の子たち3人でした。聞けば、彼らが通う学校では、車いすを操作する練習を、学校の授業の一環として実施していたそうです。教育として、障害のある人や高齢者に向き合い、触れ合う機会を増やし、社会全体で経験値を高めていくことが大切だと考えます。
●PROFILE● 垣内 俊哉
1989年生まれ。岐阜県中津川市出身。2012年立命館大学経営学部卒業。在学中2010年に株式会社ミライロ設立。