連載コラム

2018/07/03

垣内俊哉「106cmの視点から」

環境が先か、技術が先か

 世界で初めて、岡山県に点字ブロックが設置されたのはもう半世紀前のことです。世界を見渡しても、日本ほど点字ブロックが普及している国は他にありません。日本の発明によって、世界中で視覚障害者が移動しやすい環境が広がっていくことでしょう。また、日本は国土が狭いからこそ、垂直移動が必要な場所が多く、エレベーターの設置数も多いのが特徴です。しかし、点字ブロックにせよ、エレベーターにせよ、数が多いとはいえど、あくまでそれは海外との比較に過ぎません。公共機関であれば十分な予算とスペースを確保できるものの、そうでない場所、つまりは飲食店や古い建物においては、バリアフリー化に取り組みづらい現実があります。

 昨年の今頃、人工衛星システム「みちびき」の打ち上げが報じられました。位置情報などの精度が飛躍的に向上し、将来的にはわずか数センチの誤差でも特定できるようになると言われています。これから点字ブロックを使わずとも誘導する仕組みや、段差や階段、坂道を回避するルート案内など、様々なサービス開発が期待されます。ハード、ハート、そしてテクノロジー。時と場所によってそれぞれを変えていくことで、障害者や高齢者の生活がより豊かなものになると期待しています。


●PROFILE● 垣内 俊哉
1989年生まれ。岐阜県中津川市出身。2012年立命館大学経営学部卒業。在学中2010年に株式会社ミライロ設立。

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