連載コラム

2022/01/29

今日は誰目線?

国籍、年齢、身体特性などの多様性を力に、社会に新たな価値を創造する(株)ミライロのメンバーが、リレー形式で登場しそれぞれの視点で執筆します。


  全盲の私が一人で道を歩く時の天敵 

 私が一人で歩く時は必ず「覚えている道」を歩きます。家族や友人にサポートしてもらい、何度か歩いて「覚えた道」です。「パン屋さんの匂いがする角を右に曲がり、歩道の傾斜が少し急になったところの交差点を渡り、右手にある自販機のかすかな音が聞こえてきたら左に曲がる」など、私の場合は匂いや道の傾斜、周囲の音を頼りに歩きます。中には歩数で覚える人もいるそうです。そのため、道や地図が見える皆さんのように初めての道を一人で歩くことは非常に難しいです。

 ただ、年に何度かは通勤路ですら一人で歩けない日があります。それは大雨や雪が積もっている日など、目印の音がかき消されてしまったり、路面の状態が変わってしまったりする時です。特に雪が積もっていると足の裏の感覚が全く違い、知らない道に感じてしまうほどです。雨は止んでいれば歩くことに大きな支障はないのですが、雪の場合は溶けない限りずっとあるので、何日も一人で外出できないこともあります。

 また、水たまりや雪、路面が凍っている状態を見て判断することができないため、水たまりに入ってしまった経験は何度もあります。もし、雨や寒い日に視覚障害者が歩いているのを見かけたら、路面の状態を知らせたり、一緒に歩いてもらえたりすると、とても心強いです。

以前、講師の仕事で訪れた金沢駅広場にて。
左右に積み上げられた雪が障害になることも


●原口 淳

株式会社ミライロ ビジネスソリューション部 講師チーム/マネージャー

生まれつき全盲という視覚障害者の視点から、全国の企業・自治体・学校などで講演を行う講師。

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