連載コラム

2021/12/29

今日は誰目線?

国籍、年齢、身体特性などの多様性を力に、社会に新たな価値を創造する(株)ミライロのメンバーが、リレー形式で登場しそれぞれの視点で執筆します。


大切なのは向き合う姿勢

 皆さんは「自分に話しかけてもらえなかった経験」はありますか?実は私の妻にはよくあることです。例えば病院の診察中。妻は補聴器を付けていますがたまに聞き取れない事があります。最初はゆっくり話してほしいと伝えるのですが、患者という立場的に何度もお願いしづらく、結局諦めてしまうケースが多いです。そこで私が一時的に会話の補助をするのですが、次の質問から「どこが痛いですか?」と私に聞かれてしまうことがあります。妻は「自分の診察なのに…」と悲しそうに話しています。

 一方でこんな体験もあります。少し高級なレストランに行った際、コース料理の説明を紙に書いてもらえたことがありました。私は食材の名前や調理方法は詳しくないので、いつも説明してもらう内容を100%妻に伝えられていない気がしていました。しかし、そのお店では店員さんの説明を聞きながら妻は文字を目で追うことができたので、2人同じタイミングで料理を楽しむことができました。

 聴覚障害のある方と接することに不安を感じる方もいるかもしれません。ただ必要なのは手話のスキルでもサポートの知識でもなく、目の前にいるその方と向き合うことだと思います。私の妻がそうであるように、時には少しだけゆっくりと大きな口で話すだけで理解できる場合もあるのです。

相手に合わせたコミュニケーションを


滝田 裕一

株式会社ミライロ 運営チーム ディレクター   耳の聞こえない両親を持つCODA(※)。

妻は生まれつき耳が聞こえない。自身の経験を活かしながら、検定の運営や障害のある講師の育成などを担当。

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