連載コラム
2019/06/04
垣内俊哉「106cmの視点から」
福助人形と武士
文化元年頃から江戸で流行した、福助人形。福の神で願いをかなえるとして、茶屋などで祭られていました。実は、福助人形のモデルになったのは、脳水腫により身体障害のあった、佐太郎という男性です。その他にも、日本神話では、身体障害のある人が、福を招くとして、祭られていることが多々あります。当時、障害のある人が外出することは少なく、特別な存在として見られていたからです。でも、多様な人が外出するようになると、障害者は弱者として認識されるようになってきました。時代とともに、障害者に対する社会全体の向き合い方は変わり続けています。
江戸時代、人口に対する武士の人数は7%だったそうです。くしくも、現代の障害者の割合と同じです。今、武士の生き様が世界中の人の琴線を震わせているように、100年、200年後の未来には、障害者もそんな存在になるかもしれません。「令和の時代に、あのサービスが始まったから、この考え方が広がったから、障害者に対する向き合い方が変わった」。そうやっていつの日か振り返られるように、今、私は事業を進めているのだと感じます。
●PROFILE● 垣内 俊哉
1989年生まれ。岐阜県中津川市出身。2012年立命館大学経営学部卒業。在学中2010年に株式会社ミライロ設立。