レポート

2017/08/08

「ダイアログ・イン・サイレンス」記者発表&体験レポート

ダイアログ・イン・サイレンスのアテンドの皆さん

暗闇のソーシャルエンターテインメント「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」を運営する一般社団法人ダイアローグ・ジャパン・ソサエティでは、2017年夏、音のない世界で言葉の壁を超えた対話を楽しむエンターテインメント「ダイアログ・イン・サイレンス」を期間限定開催します。案内するのは、音声に頼らず対話をする達人、視覚障害者のアテンド。参加者はヘッドセットを装着し、静寂の中、集中力、観察力、表現力を高め、解放感のある自由を体験。音や声を出さず、互いにコミュニケーションをとる方法を発見していきます。1998年のドイツ開催以来、世界で100万人以上が体験した「静けさの中の対話」。日本初開幕の前日に行われた記者発表および体験をレポートします。

左からダイアログ・イン・ザ・ダーク代表の志村真介氏、発案者であるドイツの哲学博士アンドレアス・ハイネッケ氏とその妻オーナ・コーヘン氏、総合プロデューサーの志村季世恵氏

●開会挨拶

志村真介氏(ダイアログ・イン・ザ・ダーク代表)

「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」は真っ暗な中の対話でしたが、今回の「サイレンス」は音のない空間での対話です。参加者は12人のグループを作り、全く音声の聞こえない静寂の中に入っていきます。ここでアテンドするのは聴覚に障害のある人たち。でもこれは聴覚障害者の疑似体験ではありません。参加者もアテンドも対等に聞こえない中、身振り手振り表情でコミュニケーションしていきます。

2020年には、東京でオリンピック・パラリンピックが開催され、さまざまな国の人たちが日本にやってきます。異なる言語を話す人たちとコミュニケーションするにはどうしたらいいか。「ダイアログ・イン・サイレンス」での体験がヒントになるのではないでしょうか。言葉が通じなくてもおしゃべりできる、思いは伝わるということが、きっとわかるはずです。

●発案者挨拶

アンドレアス・ハイネッケ氏、オーナ・コーヘン氏

このコンテンツを日本で開催することには、私自身、少し疑問がありました。というのも、日本の方は普段のコミュニケーションの中で、表情を大きく変えたり、ボディランゲージを使うことが少ないという認識があり、日本の方がどのように反応するのか全く想像できなかったからです。しかし10日間のリハーサルを拝見し、すべてが杞憂であったことがわかりました。参加した方は皆ご自分を開示し、素晴らしいクリエイティビティを見せてくれました。 最初は非常に難しいと感じるかもしれませんが、一度イベントの中に入ってしまえば、普段と違う新しいコミュニケーションがお互いの間に生まれていくことでしょう。ノンバーバル(非言語)コミュニケーションの方法を積み上げていくこと、コミュケーションに対する理解を別次元から深めること。これが、まさに私たちが到達しようとした場所です。

「ダイアログ・イン・サイレンス」は多様性の理解を深める体験。2020年に向け、多くの外国人を迎える国となる日本での開催は、他の言語を話せない方々とコミュニケーションに小さな貢献ができるのではないかと考えています。20日間の実験的なプログラムをとても楽しみにしています。そしてこれをきっかけに皆さんが2020年に向けまっしぐらに進んでいくことも望んでいます。

●総合プロデューサー挨拶

志村季世恵氏(ダイアローグ・ジャパン・ソサエティ代表理事)

 

 

 

 

最初にお伝えしたいのは「ダイアログ・イン・サイレンス」は、福祉事業ではなくエンターテインメントだということです。その見どころは、たくさんありますが、今ここでお話ししてしまうとネタバレになってしまうので、控えますね。 参加した方は、音のない静かな中でご自分の手を使い、表現をし、顔の表情を使ってコミュニケーションをはかっていきます。90分の体験を終えて出てこられた方は、アテンドとの交流を深めたことで、いくつかの手話も覚えています。そして皆さん、笑顔がとても上手になっています。それを是非、持ち帰ってもらいたいなと思います。そんな風にして、日本に笑顔がどんどん広がっていくといいなと思っています。

 

体験レポート

最初の部屋でヘッドセットを装着してまず感じたのは、自分一人の世界に突然閉じ込められたような閉塞感。そんな中スタートした当初は、アテンドの身振り手振りを見て、自分が何をすればよいのかを理解することに必死になっていた。徐々に慣れてくると他の人の様子を見る余裕も出てきた。ふと周りを見ると、みんな笑っていた。その表情から楽しんでいることがわかると、他の人と急につながった気がした。自分一人の世界ではなく、みんな同じ静寂の中にいると思えた。

  ところが「形と手」の部屋では、何をすればいいのかがなかなか理解できず、焦る。まわりの人がどんどんわかっていく中、自分だけがわからず、取り残されていく寂しさと不安。それでもアテンドや仲間は方法を変えて伝えようとしてくれた。私もなんとか知りたいと思った。お互いにあきらめなければ、わかりあ える!伝達に時間がかかった分、わかったときは余計にうれしい!

 

最後に「対話の部屋」で手話通訳を介しアテンドと参加者が「言葉」を交わし合った。「手話はわからなくても、私たちは普段の暮らしの中で手を使っている。その動作を少し発展させれば、伝わることがたくさんある」。手話通訳の人の音声を介してインプットされたアテンドのメッセージは、まるで彼女が心に直接話しかけてきたかのように届いた。

何を感じるかは人それぞれだと思うが、誰もが間違いなく実感するのは「言葉が通じなくても、心は通じる」ということ。私たちの日常には、「言葉は通じているのに、心が通じ合えない」場面もたくさんある。そんなときどうしたらよいかという手掛かりが、静寂の中で確かに見えた気がした。

◆チケット情報

前売り約4000席はすでに完売。追加席が準備でき次第、随時発表されるのでHPをこまめにチェック!また、若干の当日券もあるので電話かメールでお問い合わせを

 

  • ダイアログ・イン・サイレンスHP こちらから
  • 一般社団法人 ダイアローグ・ジャパン・ソサエティ
  • 住所:東京都渋谷区神宮前2-8-2 B1
  • TEL:080-4160-3103(10:00~21:00)
  • MAIL:silence@dialogue-japan.org

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