レポート
2017/09/21
誰にでもやさしい沖縄 誰もが笑顔になれる旅
沖縄県の観光バリアフリーの取り組みに注目!
観光に携わる人たちが障害者への対応を学ぶ
●専門家と当事者から講義と実践で学ぶセミナーを開催
沖縄県では、高齢者、障害者、外国人、小さな子ども連れの家族など、多様なニーズに対応する質の高い観光を実現するために、さまざまな受け入れ態勢の整備を推進しています。その一環として開催しているのが、宿泊、飲食、土産物店、観光施設などの観光事業に携わる人たちを対象とした「観光バリアフリーセミナー」。7月21日に那覇市内で開催されたセミナーを取材しました。
この日は、ホテル、航空会社、民間企業、行政職員など約40名が参加。まず沖縄県子ども生活福祉部障害福祉課広域相談専門員の上間清香さんによる「沖縄県共生社会条例」についての講義がありました。国が制定した「障害者差別解消法」より2年も早く、平成26年に施行されたこの条例は「すべての県民が等しく地域社会の一員としてあらゆる分野に参加できる共生社会の実現を目指し」制定されたもの。障害を理由にサービス提供を断ってはいけないことや、合理的配慮とはどのようなことかなどを、具体的な事例をあげわかりやすく解説。真剣に聞き入る参加者の姿がありました。
●障害を正しく理解し一緒に考えてみる・あきらめず工夫する
当事者講師として登壇したのは視覚障害者の桐原好枝さん。盲導犬ルート君とともに参加者と交流を深め「盲導犬はハーネスを着けているときは『仕事中』、急に声をかけたり、触ったりすることは避けて」と理解を呼び掛けました。
続いての講師は、しょうがい者・こうれい者観光案内所を運営している親川修さん。「大切なのは障害を正しく理解すること。最初から『できない』とあきらめないこと。一緒に考え工夫すること」と話しました。 実践では参加者が交代で高齢者疑似体験キットを装着し、障害者や高齢者がどんなときに困るのかを実体験。「見えづらいことがこんなにストレスになるとは」「少し歩いただけでものすごく疲れた」など多くの気付きがありました。
終了後も車いすへの移乗や、マリンスポーツにおけるサポート方法など具体的な相談をする参加者に、豊富な現場経験から丁寧に回答する親川さん。沖縄に来たすべての人に楽しんでもらうために何ができるかをともに考える、熱意にあふれたセミナーでした。
●当事者や専門家のアドバイザーを派遣
沖縄県の取り組みの中で、もうひとつ注目したいのは、宿泊施設、観光施設、飲食店などの観光関連事業者に対し、バリアフリーの専門家や当事者をアドバイザーとして派遣する「観光バリアフリーアドバイザー派遣事業」です。
7月20日、沖縄市料理飲食業組合では、市内でホテル、居酒屋、そば屋などを営む理事約20名が集まり、バリアフリーセミナー講師も務める親川さんからのアドバイスを求めました。高齢者や障害者への食事の提供は「誤嚥などの不安もあり自信がない」と本音をぶつける組合長の當山康司さん。親川さんは「最初から『できない』ではなく、家族の方に『普段どんなものを食べてますか』と聞きながら、一緒に工夫する気持ちが大事」とアドバイス。深くうなずく理事の皆さんの姿がありました。
沖縄県では全国の空港に先駆け那覇空港に平成19年、「しょうがい者・こうれい者観光案内所」を開設。平成25年には那覇国際通りに第2の案内所をオープンし、車いすやベビーカーなどの貸し出し、バリアフリー対応の観光地や宿泊施設の案内など、誰もが安心して快適な沖縄の旅を楽しめるようサポートしている。「どんなご相談にもノーとはいいたくない」と力強く語る空港案内所の長尾久美子さん。「事前の電話相談で不安なことをお聞きし、どうすればストレスを減らせるか、ご希望に添えるかを一緒に工夫したい」と、国際通り案内所の仲間正子さん。旅をあきらめてしまった方もぜひ一度、ご相談を!
- TEL 098-858-7760
- FAX 098-857-9058
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沖縄県観光バリアフリー・ポータルサイト
バリアフリーOKINAWA http://okibf.jp/
沖縄県 文化観光スポーツ部 観光整備課
TEL 098-866-2077 E-Mail aa081302@pref.okinawa.lg.jp
取材協力/株式会社オリエンタルコンサルタンツ