レポート

2017/09/30

見る! やる! 支える!パラスポーツを楽しもう

スポーツの秋! 見るのもやるのも楽しい季節ですね。皆さんは「パラスポーツ」を体験したことはありますか? 障害のある人だけではなく、健常者が一緒に楽しめる競技もあることを知っていますか? まだまだ知られざるパラスポーツの魅力について、日本財団パラリンピックサポートセンターの金子知史さんに聞きました。

違いを超えて楽しめる「工夫」が魅力

日本財団パラリンピックサポートセンター
推進戦略部 プロジェクトリーダー
金子知史さん


 日本財団パラリンピックサポートセンター(以下パラサポ)は、2015年5月に設立された団体です。東京2020パラリンピックの成功とパラスポーツの振興、その先のインクルーシブ(包括的な)社会の実現を目的にスタートしました。
 パラスポーツときくと、まだまだ「障害者スポーツ」というイメージが強いかもしれませんが、障害のあるなしに関わらず、年齢、性別、国籍など、さまざまな違いを超えて楽しめるところが、パラスポーツの大きな価値。なぜ楽しめるのかというと、どの競技も、さまざまな違いを持つ人が一緒に競い合えるよう、ルールや用具に工夫を重ね、カスタマイズしながら作ってきたからなんですよね。
 パラサポ発足当初、車いすバスケの体験会で、ある参加者の方が「楽しいですねー!」と言ったあとで、こうおっしゃったんです。「 あ、楽しいなんて言ったら不謹慎ですよね」。ああ、そうなんだよな、この価値観を変えていかなければいけないんだ、と思い「いえいえ、楽しいと言っていただいていいんですよ!」とお答えしました。スポーツの純粋な楽しさがあれば、障害者と健常者の違いや壁も一気に取り払えるのではないでしょうか。パラサポは2020年を、パラスポーツの魅力を皆で享受できる最高の機会にするべく活動しています。

スタジアムをモチーフにデザインされたパラサポオフィスには、現在28の競技団体が入居


応援にも体験にも「新感覚」の楽しさがある

 パラスポーツをもっと身近に楽しむための方法としてお伝えしているのは「見る、やる、支える」の3つです。これまで少なかった「見る」機会については、各団体とも競技の魅力を伝えられるよう観客を意識した大会運営にシフトしつつあります。ブラインドサッカーやゴールボールなどの視覚障害者競技は音が頼りなので「静かに観戦する」など、応援にも新感覚の楽しさがあります。
 「やる」については、パラサポでは体験会的なものから出張運動会まで、さまざまなプログラムを用意しています。初心者に難しい競技はルールをアレンジするなどしています。そうした工夫のアイデアは、スポーツを通して「相手を知る」というコミュニケーションから生まれることも実感いただけると思います。
 「支える」については、最近の大学生ボランティアの人たちと接したりすると「一緒に楽しむ」感覚に近いと感じます。例えばブラインドサッカーのキーパーや陸上競技のガイドなどは健常者が務めます。競技により健常者も一緒に参加できる大会もあるので、楽しさを共有することで「支える」につながるチャンスがたくさんあります。
 秋になり国内大会も多いシーズンですし、来年の3月には平昌パラリンピックも開催されます。ひとつひとつの競技や選手を知れば知るほど応援も楽しくなります。パラスポーツのファンが増えることでコミュニケーションが深まり、スポーツ文化としてこれからもっと面白くなっていくと思います!
◆日本パラリンピックサポートセンターの詳細はこちら

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