レポート
2018/03/01
もっと知りたい、伝えたい「ダウン症」について
3月21日は世界ダウン症の日。ほとんどのダウン症がある人たちには“21”番目の染色体が“3”本あることから、この日に定められました。
ダウン症のある人たちが、その人らしく安心して暮らしていけるよう、世界中でさまざまな啓発イベントが行われます。それに先駆け2月12日に東京都内で開催されたキックオフイベントをレポートします。誰にとっても身近な存在である「ダウン症のある人」について、知っていること、わからないこと、もっと知りたいこと、この機会に考えてみませんか。
今年はダウン症のある成人の暮らしや活躍を紹介
ダウン症の正式名称は「ダウン症候群」、1886年に初めて考察を発表したイギリス人のダウン博士の名前に由来します。どの国にも800~1000人に1人の割合で生まれるといわれています。
続いてJDS玉井邦夫代表理事が、国際ダウン症連合2018年テーマ「what I bring to my community」の日本語訳を解説。「和訳は難儀したが最終的に〝いるだけで伝わることがある~どんな街にも、あなたのそばにも~〟とした。気付いてほしいだけでなく、ダウン症の方も自分の存在を通して地域社会に何かをもたらせる」と能動的なメッセージを贈りました。厚生労働省、文部科学省、外務省の来賓あいさつに続き、ダウン症のある人のためのエンタテイメントスクール「ラブジャンクス」代表・牧野アンナさんに、JDSから感謝状の授与です。2002年のJDS主催イベントで初めてダウン症児と出会って以来、ともにダンスや歌に取り組む牧野さんは「ダウン症のある人たちと関わるととにかく楽しい。ご家族もパワフルな方が多い。皆さんもぜひ出会ってほしい」とコメント。昨年ラブジャンクスからCDデビューした「らぶじゃんレンジャー」がデビュー曲を披露しました。
続く啓発ポスターの発表では、今年のモデルを務めた熊本県天草市在住の41~50歳の6名を代表し、江﨑淳一さんとお姉さんが登壇。仲間との暮らしを発表すると、熊本からスペシャルゲストくまモンが登場!最高潮の盛り上がりの中、ダウン症のある人たちがより暮らしやすい社会の実現を目指しJDSが毎年採択するアピール文を、5人の発表者が読み上げました。 ロビーではダウン症の天才画家として注目されるいかわあきこさんの制作実演もありました。母、隆子さんと玉井代表理事によるトークセッションでは、現在47歳のあきこさんが絵を描き始めたのは30歳というお話があり、会場から驚きの声。隆子さんは「ダウン症のあるお子さんは、素晴らしい何かを持っています。焦らずゆっくり楽しんで」と締め括りました。
最後は毎年新デザインで制作されるチャリティTシャツのお披露目。10人の公募モデルに友人とともに選ばれた田中大稀さん(14)の母・和美さんは「自分たちは狭い世界にいたと思いました」と、我が子らの晴れ姿に目を細めました。
ダウン症のある人だけでなく誰もが暮らしやすい社会について改めて考えるきっかけになるイベントでした。皆さんもぜひ、身近にいるダウン症のある人と出会ってみませんか。