レポート
2016/09/29
多様な価値観をアニメで考えよう マックタッキー・フライド・ハイ
ロバート・カーニリアスさん
働くママ、LGBTにも理解あるITベンチャー企業ノヴィータにて交流会(9/23)
2015年1月、アメリカのシカゴで、ひとつのウェブアニメが生まれた。『マックタッキー・フライド・ハイ』、作者は当時コロンビア・カレッジ大学院生だった映像作家、ロバート・カーニリアスさん。若者にとって身近なジャンクフードをキャラクター化し、LGBT(性的少数者)を原因とする差別やいじめの問題を、中高生がシリアスになり過ぎずに考えるためのコンテンツとして取り組んだ。
この作品に目を留め、日本語吹き替え版を制作したのが青山BBラボの学生たち。本ラボは、青山学院大生が社会人とともに、女性、外国人、子ども、LGBTなど、皆が居心地よく暮らせる社会の在り方を考える取り組みだ。年齢の近い作者に共感し、コラボレーションが実現。シーズン①5作品の日本語吹き替え版を、昨年9〜12月に完成させた。
今回、新作7本を完成させ、2度目の来日を果たしたカーニリアスさんに話を聞いた。「シーズン②では性別だけでなく、宗教、人種など、さらに多様な価値観をテーマに盛り込み、若者たちのディスカッションが深まることを目指した」。
LGBTの権利や制度などについては日本より進んでいるアメリカだが、「社会が多様であることと、それを受け入れることは別の問題」と語るのは、ともに来日したプロデューサーで脚本担当のレックス・ローソンさん。多様性を受け入れるために「大切なのは耳を傾けること」だと言う。
今後は、「このアニメを中高生の教材として使ってほしい」とカーニリアスさん。「思春期のさまざまな悩みをサポートする活動は、アメリカでもまだ少ない。セクシュアリティや宗教、人種の問題は交差している。ひとつのグループに閉じこもってしまわないで」。
自身の学生生活の中から生まれた個性豊かなキャラクターを通して「誰もがお互いを正しく理解し合い、皆で障壁のない社会を目指していけたら」と、発信し続ける。
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映像作家、イラストレーターロバート・カーニリアスさん