レポート

2017/03/31

今回のテーマは「ダイバーシティー」。
二枚目の名刺Common Roomに行ってみた!

二枚目の名刺

2016年、日本国内のHR関連の中で最も注目されている『日本の人事部HRアワード』人材開発・育成部門の最優秀賞を受賞した「NPOサポートプロジェクト」。

次世代リーダーの育成やミドル世代のキャリア形成のための新しいプログラムとして、多くの企業からも注目されているこのプロジェクトは、一体どんなメンバーが参加し、どのように関わり、どう進められていくのだろう。

「NPOサポートプロジェクト」の実態に迫るため、2017年2月19日に行われたCommon Room45に潜入した。

NPO二枚目の名刺とCommon Room

NPOサポートプロジェクトに触れる前に、「2枚目の名刺」と「Common Room」について知っておかなければならない。

NPO二枚目の名刺代表の廣優樹とCommon Room45のコーディネートを行った二枚目の名刺の鈴木むつみがイントロダクションで語った話から、これらについておさらいしよう。

●2枚目の名刺とは?

組織や立場を超えて、自分の価値観を社会で表現するときに持つもう1枚の名刺。

複数の仕事に並行して取組む人もいるし、趣味の名刺を持つ人もいる。ただそうした中で、単にお金を得るための副業でもなく、自分が楽しむだけの趣味でもない、社会を創ることに関わる2枚目の名刺を持つ人が増えているのだと廣は言う。

廣:「本業で得たスキルや得意なことを活かして社外活動に取り組む“プロボノ”のほか、本業のほかにもやりたいことを見つけたからと、新しく組織を立ち上げて活動する人もいます。一方で、その分野での強みがなくても団体の想いに共感して、活動に参加する人もいます。理由は様々だけど、会社人ではなく、社会人として、“自分が大切にしている価値観を表現するための名刺”が2枚目の名刺であると思うんです」

廣:「実際に2枚目の名刺を持つと、それを人に渡して、説明する機会ができます。その繰り返しによって、その人自身の意識や行動も変わっていくのです。もちろん、2枚目の名刺で取り組むことで、社会に新しい価値が生み出されますし、そこでの経験が1枚目の名刺にも還元されます。2枚目の名刺というアイテムが登場することで、このサイクルが生み出されることもポイントです。」

NPO法人二枚目の名刺は、社会人がNPOと協働するプロジェクト(=NPOサポートプロジェクト)を通じて、社会人が2枚目の名刺を持つきっかけをつくり、NPO・社会人・企業という3者の変化を同時に生みだすことを狙っている。また、2枚目の名刺を持つことが当たり前となる社会の雰囲気をつくることも活動のもう1つの柱としている(このWebマガジンも、その活動の一環だ)。

●コモンルームとは?

社会人とNPOの出会いの場。サポート先NPOのプレゼンを聞いたうえで、共感する団体に対し、プロジェクト参加への名乗りをあげることができる。このイベントからNPOサポートプロジェクトがスタートする。

今回のCommon Roomには、社会人70名が参加したが、サポート先の団体に目星をつけてきたという人は1名だった。

Common Roomで行われる10分ほどのプレゼンと、各ブースでの質疑応答の時間で参加する団体を決めるという人がほとんどなのだ。

鈴木:「誰かの役に立つ方法を探っている方や、社会的に価値のあることで自分も成長したい、ゼロからチーム構築をしてみたいという方、新しい視野や自分の可能性を広げたいというが参加してくれます。人材育成の観点から、まずは自分が取り組んでみようと参加される企業人事の方もいます」

この日の会場には、20代から50代まで、公務員、SE、コンサル、銀行員、小売業、教師、主婦…と、幅広い職種の社会人が集まっていた。一度参加した方の口コミで広がっているところも、このプロジェクトの特徴の一つだという。

第45回目のテーマは「ダイバーシティー」

2009年にスタートしたNPOサポートプロジェクト。第1回のCommon Roomのテーマは「2枚目の名刺で自分を変える、社会を変える、笑顔になる!」。そしてストレートに、「あなたを必要としているNPOを紹介します」と呼びかけた。第2回以降は、毎回テーマを変えて、社会人がNPOとともに社会課題の解決に向けて取り組んでいる。

45回目である今回のテーマは「ダイバーシティー」。このテーマを設定した理由を、鈴木はこう話す。

鈴木:「2枚目の名刺を持つことで、普段の仕事の中にはない“違い”に触れ、そこから生まれる自分の中の“何か”を見つけることができます。“多様性(ダイバーシティー)”のあるところからイノベーションを生み出すことが、今後の日本や私たちにとって最大のテーマ。こうしたイノベーションを実体験できる場がNPOサポートプロジェクトであると考え、原点回帰してみることにしました」

こうして“ダイバーシティー”に関連のある、「子育て・家族」「パラスポーツ」「LGBT」といった各分野のNPOが、今回のサポート先団体となったようだ。

鈴木:「プロジェクトは、年齢や職種、業種が異なる社会人で編成されます。メンバーの多様性を受け入れるだけではなく、その違いを楽しんで欲しい。自分の個性を存分に発揮しながら、視野を広げ、新たな可能性につなげていただけたら嬉しいですね」

NPOサポートプロジェクトを通してできることは?

イントロダクションのあとは、サポートプロジェクトを経験したメンバーによる事例紹介とパネルセッションが行われたが、この様子は別途まとめることにする。>4月8日公開予定

NPOサポートプロジェクトの仕組みだけではなく、実際にどのような取り組みが、どのような手順で行われ、その時々で社会人にどんな気付きや学びがあったのかを知ることができるだろう。また、サポート先のNPOからの声も興味深い。

パートナーNPOプレゼンテーション

事例紹介で取り組みのイメージをつかんだところで、今回のNPOサポートプロジェクトのパートナー団体のプレゼンテーションに移る。それぞれの団体の代表者が、団体の概要とミッション、今抱えている課題やプロジェクトメンバーに期待することなどを、スライドを使って説明するのだ。

このプレゼンは、参加者の未知の領域に対する関心を呼ぶようで、イベント後のアンケートには、下記のようなコメントがあがっていた。

「日常の生活やニュースからは得られない課題や団体の活動を知るきっかけになり、よかった」(20代・女性)
「自分の興味・関心分野以外のNPOの話を聞けたことが有意義だった」(20代・女性)
「普段接することのないNPO団体の活動内容や熱い想いを感じることができ、とても勉強になった」(30代・男性)

では、今回のパートナーNPOを簡単に紹介しよう。

1.NPO法人ホームスタート・ジャパン

子どもを安心して産み育てることができる社会を目指し、「家庭訪問型子育て支援ボランティア」を行う。親自身のストレスやそのストレスによる児童虐待などの課題を解決するために、乳幼児の親の心の安定と育児力向上を促す地域の親同士の支え合い活動を実施している。

2.NPO法人パラ・パワーリフティング

1964年の東京大会からパラリンピック種目になった下肢障がい選手による競技。東京パラリンピックでメダルを獲得するという夢に向けて、選手強化に取り組んでいる。今回は、「TEAM BEYOND」(パラスポーツを通じて、みんなが個性を発揮できる未来を目指すTOKYO発のチーム)とNPO二枚目の名刺が連携することが決定!

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3.認定NPO法人グッド・エイジング・エールズ

「LGBTと、いろんな人と、いっしょに」を合言葉に、セクシュアリティを越えてすべての人が自分らしく歳を重ねられる社会を目指している。主な活動は、ワークショプ、シンポジウム、マラソン、カフェ、シェアハウス、街メディア、写真展など、企業やNPOとの積極的なコラボを通したLGBTフレンドリーな「場づくり」。

興味のあるパートナーNPOについてもっと知る

各団体のプレゼンが終わると、イベント最後のプログラムであるブースセッションに入る。参加者が興味を持った団体のブースに行き、「具体的にどんな取り組みを実施しようとしているのか」「団体の組織はどうなっているのか」「現状の広報活動はどうしているのか」など、思い思いの質問をぶつけるのだ。

ここでも参加者には気付きがあったようで、次のようなコメントが届いている。

「各団体に改善点はあるけれど、楽しみながら、志を持って活動されていることに感銘を受けました」(20代・男性)
「様々な働き方、生き方のロールモデルを拝見し、刺激を受けました」(30代・男性)
「参加者の方々の質問内容や観点がとても勉強になり、社外交流の大切さを感じました」(年代記載なし・女性)

ともすると企業内では薄れてしまいがちな、自分たちの仕事に対する熱い想いや目的意識に触れ、刺激を受けたという声が多くあがっているのも、社会課題をミッションとするNPOに接してこそだろう。

「NPOの志の源泉に触れることで、本業に取り組む姿勢が変わる」と、過去にサポートプロジェクトに参加したメンバーも話している。

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アンケートにプロジェクト参加希望団体等を記入し、Common Room45は幕を下ろした。ここから先は、各参加者の希望をもとにチームが編成され、2月27日のキックオフミーティングを皮切りに、4月22日の中間報告会、6月11日の最終報告会をもってサポートプロジェクトは終了となる。

追って、その様子をお伝えしていきたい。

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【スタッフ】
カメラマン:松岡千草
ライター:はしもとゆふこ

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