レポート
2023/07/31
世界へ羽ばたけ! 東京ゆかりのパラアスリート
田村小瑚(ここ)さん(パラダンススポーツ) (写真右)と浅見明子さん
2024年はパリでパラスポーツの祭典、2025年はデフリンピック100周年記念大会が東京で開催されます。ますます盛り上がりを見せるパラスポーツの支援のために、東京都が実施しているのが「東京パラアスリート強化事業」です。6月18日、東京都庁舎において、今後活躍が期待される東京ゆかりのパラアスリートやスタッフへの認定等を行った式典の模様とともに、今回認定を受けた選手・スタッフを代表して、パラダンススポーツ選手の田村小瑚(ここ)さん、トレーナーの浅見明子さんにお話を伺いました。
「東京ゆかりパラアスリート」
田村小瑚(ここ)さん(パラダンススポーツ) (写真右)
2001年生まれ。現在は都内の大学に通いながらパラダンススポーツの練習に励む。今年8月開催「東京2023 パラダンススポーツ国際大会」出場予定。
「東京パラスポーツスタッフ」
浅見明子さん(写真左)
(一般社団法人日本パラダンススポーツ協会強化トレーナー/J-Workout広報・公認トレーナー)
障害の有無に関わらず、みんなで楽しめる
——認定おめでとうございます!
田村・浅見 ありがとうございます!
——「パラダンススポーツ」について教えてください。
浅見 少し前まで「車いすダンス」と呼ばれていましたが、分かりやすく言えば、車いす競技者と健常者がペアを組んで踊る社交ダンス競技です。競技の中には、車いす競技者である「ドライバー」とそのパートナー「スタンディング」がペアを組んで踊る「コンビ」以外に、二人の「ドライバー」同士でペアを組む「デュオ」などの競技もあります。「スタンディング」は健常者が務めますが、アシスタントではなく「選手」として登録されます。障害の有無に関わらず、同じ選手として共に取り組めるところがパラダンスの大きな魅力だと思います。
田村 私は楽曲も踊りのスタイルも自由な「フリースタイル」に挑戦しています。
——田村さんがパラダンスを始めたきっかけは?
田村 高校生の頃、浅見さんが公認トレーナーをしているJ-Workout(脊髄損傷者専門トレーニングジム)へ行ったとき、ちょうどいらしたダンスの先生に誘われて踊ってみたらとても楽しくて。もともと体を動かすのが好きだったので、何かやりたいと思っていたんです。しばらく趣味で踊っていたのですが、先生に大会出場のお話をいただき本格的に取り組むことになりました。
浅見 8月5日・6日に国立代々木競技場第一体育館で開催する「東京2023 パラダンススポーツ国際大会」が小瑚さんの公式デビュー戦になります!
パラダンススポーツの魅力を知ってほしい
——パラダンスをやる上で大切にしていることは?
田村 楽曲に合った振り付けや表情になっているかどうか。あとは、競技では障害の度合いに応じてクラス分けされるのですが、そのクラスの中で自分の体の可動域をどれだけきちんと使って表現できているかも点数に影響するので頑張っています。
浅見 大会出場が決まったことで、練習量も増えて、ダンスへの姿勢が“アスリート”に変わってきたと思います。小瑚さんの新たな一面を見ることができました。
——読者へメッセージを。
浅見 パラダンスを楽しむ人は増えていますが、競技人口はまだまだ少ない現状があります。8月開催の「パラダンススポーツ国際大会」は世界中から多くの素晴らしい選手が出場するので、ぜひ観に来てください。入場無料です!パラダンスの魅力を体感し「競技に挑戦したい!」と思っていただけると嬉しいです。
田村 パラダンスは障害のある人も気軽にできるスポーツです。まずは趣味として始めるのもいいと思いますし、競技もフリースタイルという自由な形もあるので挑戦しやすいと思います。私の踊る姿を見て「自分にもできるかも」と思えるかもしれません。今度の大会、頑張りますので、ぜひ応援に来てください!
(一社)日本パラダンススポーツ協会 ウェブサイト ※大会情報もこちらから
東京都と公益社団法人東京都障害者スポーツ協会が共催で実施している事業。国際大会で活躍する東京ゆかりのパラアスリートの継続的な輩出のために、東京にゆかりのある選手(在住・在勤・在学)を「東京ゆかりパラアスリート」として認定。競技活動費の助成や選手の競技力向上に必要なコーチやガイドランナーなどを「東京パラスポーツスタッフ」として公認し活動環境の整備を行い、パラアスリートの競技活動を支援しています。
東京都庁舎で式典を開催!
令和5年度の本事業では「東京ゆかりパラアスリート」99名、今回から新たに支援対象に加わった「東京ゆかりジュニアパラアスリート」(高校生以下の児童や生徒)5名、「東京パラスポーツスタッフ」58名を認定。式典では認定証の授与や認定アスリート代表の決意表明、公認スタッフ代表の挨拶などが行われ、日本パラリンピック委員会委員長の河合純一さんからは激励メッセージが贈られました。
東京都生活文化スポーツ局長 横山英樹さん
世界を舞台に活躍する道のりは険しいものですが、共に認定された仲間のことを思い、力に変えて頑張っていただきたいです。
東京都障害者スポーツ協会 会長 延與(えんよ)桂さん
皆様の活躍は、共生社会の実現においても大きな影響力を持っています。パラアスリートはもちろん、選手を支えるスタッフの皆様の存在も多くの人に知っていただけるよう広報活動にも力を入れていきたいです。
藤川彩夏さん (水泳・デフ/コーチ)
※手話で挨拶
2025年のデフリンピックは、日本初開催になります。この大会で選手が最高のパフォーマンスを発揮できるよう、デフスポーツの魅力を伝えられるよう頑張ります!
齋藤元希さん (水泳/視覚障害)
私たちは東京都を代表するパラアスリートとしての自覚を忘れることなく競技に打ち込み、アスリートとして、人間として成長していくことを誓います!
河合純一さん(日本パラリンピック委員会 委員長)
私自身がアスリートであった経験から、皆様には「強さ」と「感謝」を大切にしていただきたいと思います。己の弱さを受け入れることが真の強さを手に入れる第一歩に。周囲への感謝の気持ちをもつことで、応援される選手へ。その二つを心に刻んで、東京から世界へ羽ばたいていただきたいです。
東京ゆかりパラアスリート
認定選手情報など詳しくはこちらから▶︎
https://www.sports-tokyo-info.metro.tokyo.lg.jp/athlete/