レポート
2016/10/29
誰もが夢を持って働ける職場づくりを
合同会社西友
上垣内 猛氏
従業員は大切な「財産」であり「仲間」
私どもウォルマート・ジャパンでは、従業員のことを「アソシエイト」と呼んでいます。いつも一緒にいる「仲間」、英語の文字通りの意味です。小売業、接客業の競合がたくさんある中、あえて西友・サニーを選び「ここで働きたい」と思ってくれた仲間に、経済的なつながりだけでなく、西友・サニーで働く意味を共有したいと考えています。毎日のやりがいや自分の目標、将来のキャリアを自分で考える環境を整えることが、アソシエイト一人ひとりの動機付けを強くしていることから、「機会創出(オポチュニティ)」を注力分野のひとつとしています。
雨が降っても風が吹いても、24時間店を開けている小売業にとって、お客さまに日々「いらっしゃいませ」と感謝の気持ちで接するアソシエイトこそが財産です。高い志を持って共に働きたいという思いで集まってくれた仲間に、幅広く働く機会を創出していかなければ、魅力のある企業として生き残っていくことはできないと思っています。ウォルマートの本国であるアメリカは、まさに多様な人種のるつぼ。そういう意味では、「多様性(ダイバーシティ)」と、それを「受け入れること(インクルージョン)」への取り組みは、当社の文化として当たり前のこと、必然的なことだといえます。
さまざまな夢の実現をサポートする企業として
接客業という仕事は人が好きでなければできない仕事です。「いらっしゃいませ」という一言に気持ちがこもっているかどうか、お客さまにはすぐ分かるもの。長く働いているアソシエイトを見ると「人が好きなんだな」と感じます。店舗を回って彼らに会うことは私の喜びでもあり、エネルギーの源。出来るだけ多くのアソシエイトに直接会い、一人ひとりのライフステージを見ながら、彼らの夢をサポートすることが私の使命です。
パートからスタートしたアソシエイトが、「社員になりたい」と言ってくれるのは本当にありがたいこと。ぜひ応援したいという思いから、2004年にキャリア支援制度を導入しました。今まで正社員になったアソシエイトは512名です。さらに、店舗の女性リーダーを育成するプログラムも昨年から導入。現在、全店長の約10%が女性店長になりました。
また、無業の若者の就労支援に取り組む認定NPO法人「育て上げネット」から、「彼らが社会に出る上で自信を取り戻すための職場体験の機会を提供してほしい」というお話をいただき、西友の店舗で働きながら人と交わる経験をしてもらうプログラムをつくりました。全く不安が無かったと言えばうそになりますが、受け入れ側にもプラスになると期待しスタート。西友のアソシエイトの愛情深さと包容力、プログラムを通して見違えるほど成長する若者の姿に、大変感動しました。
ウォルマート・ジャパンでは、障がい者と健常者がともに働く現場があります。ここでも障がいのあるアソシエイトが、水産加工チームのベテランアソシエイトから丁寧な指導を受け、ひとたび技術を習得したら、正確に、アジの三枚おろしやお造りを仕上げられるようになりました。今では、忙しい水産の厨房で一番手間のかかる大切な部分を担うまでになっています。
人と人がつながりながら長く続けることが大事
西友・サニーで働くアソシエイトも、パートナーシップを結んだNPOも、縁あって巡り合ったつながりを大切にして、一度始めた取り組みは長く続けなければ意味がないと決意しています。会社が決めて動くのではなく、現場の一人ひとりが「社会のために何かをしたい」と発する声が、ここ何年かの私たちの原動力になっています。
小売業はお客さまの生活に密着して何ができるかを常に考えます。店舗は15分刻みのスケジュールで動いていて、誰か一人が欠けても回らなくなってしまう。27カ国の国籍が存在する中、健常者、障がい者、高校を卒業したばかりの人、60歳を超えたシニアを含む、約3万人のアソシエイトが思いやりを持ってつながりながら、毎日24時間お店を開け、お客さまをお迎えしています。これからも、さまざまな取り組みをアソシエイトとともに「続けること」こそが、一番大事なのではないかと気を引き締めています。
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合同会社西友
最高経営責任者(CEO) 兼 ウォルマート・ジャパン・ホールディングス株式会社 最高経営責任者(CEO)上垣内 猛氏
1964年生まれ、広島県出身。87年一橋大学卒業後、日本リーバ(株)入社。ユニリーバUK、ユニリーバ・シンガポール等にて要職を歴任、2007年ユニリーバ・ジャパン代表取締役社長就任。12年合同会社西友 執行役員シニア・バイス・プレジデントとして入社。15 年同社 最高経営責任者(CEO) 兼 ウォルマート・ジャパン・ホールディングス(株)最高経営責任者(CEO)就任。