レポート

2018/05/02

東京レインボープライド アライの声

誰もが自分らしく誇りを持てる社会を―vol.2

今年も「東京レインボープライド」の開幕です。性的指向や性自認にかかわらず、誰もが自分らしく生きていくことができる社会の実現を目指し、さまざまなイベントが開催されます。東京が虹色に染まるこの機会に、LGBTなどの性的少数者といわれる人について、社会の理解、新たな課題について考えてみませんか。アライ(支援者)の視点で活動する人の声をお届けします。

新しい結婚のカタチ パートナーズ婚

一般社団法人 結婚トータルサポート協会 代表理事
一般社団法人 グローバル・ワンネス 代表理事    岸本 誠さん

2015年、渋谷区が日本で初めて同性カップルに「パートナーシップ証明書」の交付をスタートしたことで、世の中の認識は大きく変わった。その動きは全国の自治体に広がりつつあるが、制度が整うには時間がかかる。そんな中、制度のない自治体に暮らす同性カップルなどのために、大阪の民間団体が昨年独自に「パートナーズ婚証明書」の提供を始めた。

パートナーズ証明書

携帯できるカード型証明書

大阪府高槻市に拠点を構える一般社団法人結婚トータルサポート協会 代表理事を務める岸本誠さんは、牧師としてこれまで4000組以上のカップルの結婚式を執り行ってきた。2015年に、元女性のFtM男性と一般女性との人前結婚式を依頼されたことがきっかけで、セクシュアルマイノリティの現実を知った。「結婚式を挙げたいのに『前例がない』という理由で式場に断られてしまうと相談され、心が動いた」という岸本さんは、独自にセクシュアルマイノリティについて学び、結婚業界に向けLGBTセミナーを開催。その取り組みが注目され、自治体との連携や、企業と共同でLGBTのeラーニングの開発も進行中だ。

「愛する人と人生をともに歩みたいと願う権利は平等なはず。それはセクシュアルマイノリティの方だけの課題ではなく、障害のある方、高齢の方、事実婚の方、人生のパートナーとしての絆を確かめ合い、認められたいと望むすべての方の共通課題でもある」。牧師としての経験から岸本さんが提案するのは、同性婚ではなくすべての人が対象の『パートナーズ婚』という新しい結婚のカタチ。そして、ともに歩み始める二人が夫婦と同等な対応を受けられるよう「パートナーズ婚証明書」を提供する。
「結婚は人生のけじめでもあり、証でもある。誰もが自分らしく、パートナーとともに幸せになれる社会であってほしい」。


●PROFILE●岸本 誠(きしもとまこと)さん

一般社団法人 結婚トータルサポート協会 代表理事、一般社団法人 グローバル・ワンネス 代表理事。大阪府出身。青山学院大学卒業後、学習塾経営、教育機関の教材開発・研修講師などを経て、同志社大学神学部に学士編入し、神学修士号取得。2016年、大阪府高槻市を拠点に一般社団法人結婚トータルサポート協会を設立。2017年、LGBTについての啓蒙・啓発・教育事業を行う一般社団法人グローバル・ワンネスを設立。

用語解説
LGBT 【エル・ジー・ビー・ティー】
レズビアン(女性同性愛者)・ゲイ(男性同性愛者)・バイセクシュアル(両性愛者)・トランスジェンダー(心と体の性に不一致を感じる人)の頭文字をとった総称。あくまで代表的な呼称であり、LGBTの枠ではくくれない人もいる。
SOGI 【ソジ、ソギ】
「Sexual Orientation and Gender Identity (性的指向と性自認)」の頭文字から取った言葉で、すべての人について考えることができる概念。 誰もがそれぞれのセクシュアリティを持っているという考え方に基づく。

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