連載コラム
2018/02/28
ウィーン行きの飛行機の中で
東京、茨城、愛知、京都、大阪、兵庫、山口。国内を転々としていたかと思えば、今は海を渡りオーストリアのウィーンへ向かっています。子どもの頃の私は、車いすで出掛けることが憂鬱でした。東京から実家のある岐阜県へ帰る時、新幹線ホームへの暗く不気味な地下道が怖くて仕方ありませんでした。
高校生の頃は、いつも利用する駅にも関わらず、駅員さんに必ず改札で止められ、一人で電車に乗ることを禁じられました。大人になると飛行機に乗ることが憂鬱になりました。他の人よりも手続きに時間がかかるだけでなく、預けた車いすがなかなか手元に戻らず、足を奪われたような気持ちになるのです。
しかし、時代は変わりました。東京駅は改修され、明るく移動しやすい道を通ることができます。駅員さんに意思を伝えれば、一人で電車に乗るのを快く送り出してくれます。
そしてロンドンの空港からウィーン行きの飛行機に乗り込んだ今も、車いすを回収しようとした空港職員の方をCAさんが呼び止め「着陸してからスムーズに降りられるよう、機内に積めないかトライしてみる」と言ってくれました。2つの主輪を外して車いすを折り畳み、乗務員用ロッカーに詰め込んでくれたのです。移動の憂鬱から解放され、今では出張の度に新たな気づきや楽しみがあります!