連載コラム

2018/03/28

垣内俊哉「106cmの視点から」 

平昌から東京へ

ユニバーサルデザインの状況を調べるため、平昌パラリンピック大会を訪れました。開会式会場では、すぐにボランティアの方が駆け寄って、車いすを担ぎ上げてくれました。スロープや多目的トイレも豊富に用意され、車いす席は満席でした。一方で、会場周辺や街には突貫工事の皺寄せが見られました。歩道は破損してコンクリートが波打っており、点字ブロックも剥がれていました。こうした影響もあってか、視覚障害者を会場で見かけることはリオパラリンピックより少なかったと感じます。夏季と冬季では予算や規模の違いもあるため、仕方のない部分もあるかもしれません。

点字ブロックの敷設数が多く、公共交通機関を中心にバリアフリー化が急速に進んでいる日本だからこそ、2020年は世界でもまだ見ぬ解決策を提示できると確信しました。特にIT・デジタル分野においては、自動走行の車いす、白杖による視覚障害者の誘導システム、翻訳機能付きのメガホンなどの実証実験が始まり、期待が寄せられています。心地よさ、使いやすさ、役立つ人の多さなどの観点は、高齢者や障害者、その周囲の人々にとって安心を越えた感動に繋がります。日本が持つポテンシャルの高さを改めて感じる視察となりました。


垣内俊哉
1989年生まれ。岐阜県中津川市出身。2012年立命館大学経営学部卒業。在学中2010年に株式会社ミライロ設立。

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