レポート

2017/10/31

ご飯がつなぐ近所付き合い

●恵比寿じもと食堂 代表 末岡 真理子さん 1982年生まれ、福島県出身。PR会社を経て、結婚後は知的財産管理技能士及び広告プランナーとして働きながら、2016年2月「恵比寿じもと食堂」を自己資金で設立

●恵比寿新聞 編集長 髙橋 賢次さん 1975年生まれ、奈良県出身。2009年地元情報に特化したWEBマガジン「恵比寿新聞」を設立。地域子育てコーディネーターとして2016年より渋谷区非常勤職員。

ご飯がおいしい季節です。皆で作って、皆で食べる!そんな食堂が地元にあったら、すてきだと思いませんか?月に2回、0歳から80代までが集う「恵比寿じもと食堂」は、「こういう場所を作りたい!」と思い立った末岡真理子さんと、「やろう!」と即答した高橋賢次さんの運命の出会いから始まりました。都会の新しい近所付き合いのコツ、地元活性化のヒント満載トークをお届けします。

 

高橋 きっかけは2年前のちょうど今ごろだよね。

末岡 恵比寿新聞さん主催のハロウィンパーティに私が娘と参加して。

高橋 申し込みかなと思ったら、いきなり「10分だけいいですか」って企画書を見せられて。

末岡 その半月くらい前に読んだ雑誌で大田区の「こども食堂」の取り組みを知って、「私もやるんだ!」って書いた企画書。

高橋 僕に会う前に200人くらいに見せてたよね。

末岡 「すごくいいね」とか「がんばって」と言ってくださる方はたくさんいたんだけど、その場で「一緒にやろう!」って言ってくれたのは高橋さんだけ。

高橋 でも最初は信じてくれなかったんだよね。

末岡 「事務所の1階をただで使っていい」なんて、会ったばかりの人にそこまで甘えていいわけがないと思って、2カ月場所探し。そうしたら「いつ始める?食器とお箸は用意したよ」って言われて(笑)。

高橋 その前に、若いお母さんたちの悩みを聞いてたから、真理ちゃんの企画書を見て「これだ!」と思った。僕自身は奈良出身で、結婚して嫁の地元・恵比寿に住んで17年。この街で出会った漫画に出てくるような面白い人たちを紹介したくてWEBマガジン「恵比寿新聞」を始めたんだ。そういう昔から住んでる人のコミュニティはしっかり形成されているのに、新しく引っ越してきた人たちが仲間を作るのって、都会では難しいよね。

末岡 当時、うちの娘は6歳、2人だけで夕飯を食べることが多くて。未就学児の母ってSNSではつながってるけど、地域に溶け込むのは難しい。こういう食堂があれば子育てが楽になるんじゃないかと思ってとにかくスタートして1年半、42回開催したね。

高橋 泣いちゃうお母さんもいたよね。

末岡 たまに食事を作らなくていい日があれば、お母さんたちも楽ができるんじゃないかなと思って始めたんだけど、それ以上に、いろんな世代の子どもや大人が大家族みたいに食卓を囲むことを、お母さんたちが求めてることがわかった。

高橋 やってみてわかったことは、いろいろあるね。

末岡 こんなに元気な70、80代の人がいることとか。

高橋 野菜を寄付してくれる人がいるとかね。

末岡 お米を寄付してくれる方がいたり!

高橋 恵比寿の子どもたちに本物のお米のおいしさを伝えたいってね。

末岡 5キロ4千円くらいのお米だったり!それをガス釜で炊くから本当においしい!

高橋 500円っていう料金設定は他に比べると安くはないかもしれないけれど、本当にうまいご飯を食べさせる自信はある!

末岡 安すぎると、ちょっと手土産とか寄付とか、結局高くついちゃうことがあるでしょ。500円は、東京の遠慮がちなお母さんたちが、気兼ねなく過ごせるギリギリの金額だと思う。子どもたちにも「ご飯がただで食べられる」とは思ってほしくない。どこのおうちも、お父さんやお母さんはすごくがんばってご飯を食べさせているので。

高橋 そうだ!500円握りしめて来てほしい!

末岡 野菜は近くの区民菜園を借りて、かなり賄えているし、恵比寿が好きで恵比寿の子どもたちのために何かしたいという方たちが、私たちの活動を通して想いを寄せてくださってる。将来的には、誰もがもっと気軽にふらりと寄れる、地域のお茶の間みたいになれたらいいな。

高橋 街中が「じもと食堂」になればいいなって、真理ちゃん言ってたよね。

末岡 夕方になったら、ご近所が一斉に自分の家に「じもと食堂」の旗を出して、「ご飯できたよー」って。

高橋 今、各地で「こども食堂」を立ち上げる人は増えているよね。子どもの貧困や孤食に立ち向かうために立ち上げる方や、僕らみたいに地域のふれあいのためにやっていたり、方向性もカタチもどんどん多様化してる。

末岡 なにかやりたいと思ったら、とにかくいろんな人に会ってほしい!行政の人、企業の人、同志としてつながれると心強いアドバイスがたくさんもらえるので。

高橋 リスクを考えたら何もできない、トライ&エラーだよね。

末岡 「恵比寿って子どもを気軽に預け合える街だよね」って言える、そんな近所付き合いができるようになればいいな。

高橋 そのために、できることから、とにかくやる!

ある日の流れ
  • 15:00 オープン自由遊び・料理手伝い
  • 16:00 畑へレタス摘み
  • 17:30 ごはん
  • 18:30 宿題・自由遊び
  • 19:00 紙芝居
  • 19:30 おわり

 

メニュー
  • ・お肉と野菜の甘辛味噌炒めレタス巻き
  • ・ポテトサラダ
  • ・南魚沼産こしひかりのごはん
  • ・冬瓜と油揚げのお味噌汁
  • ・柿と揚げラスク

 
Informartion
恵比寿じもと食堂
開催日時 毎月第2、4水曜日15:00~19:30
参加費 500円(大人・子ども)※小学校1年生から1人で参加可
詳しくは こちらから 

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