レポート

2018/03/23

みんなにやさしい「墨田区」を目指して

東京2020オリンピック・パラリンピック開催に向け、世界中からより多くの観光客が訪れることが予想される中、墨田区ではユニバーサルツーリズムを推進しています。その取り組みのひとつとして、クラブツーリズム株式会社と合同で、車いすや杖を利用する方を対象としたバスツアーを企画。2月26日に実施した「すみだ日帰り旅」の模様をお伝えします。

 
東京スカイツリー®で、うな重&空中散歩
今回のツアーは、バリアフリーツアーで20年の実績を持つクラブツーリズムの「杖・車いすで楽しむ旅」の1コースとして企画された「向島百花園・梅まつりと東京スカイツリー®」。車いすの方や階段乗降に不安がある方でも乗降しやすいリフト付きバスに、新宿から15人、上野から7人が乗車し、添乗員のほか介護資格を持つトラベルサポーターが、車いす利用の方専属1人、全体見守りで2人同行しました。

最初の目的地東京スカイツリーでは、ソラマチ7階の老舗うなぎ店「前川」でうな重を堪能。食事の後は、エレベーターで地上350mの天望デッキへ。そこでエレベーターを乗り換えさらに天望回廊へ。地上445mから約110m続くスロープをゆっくり歩き、451.2mの最高到達点ソラカラポイントまで空中散歩を楽しみました。「上まで登るのは初めて」という参加者も多く、平日も混雑する人気スポットほど、ツアーで訪れるメリットが大きいことを実感しました。

満開の梅にメジロ、向島百花園
 向島百花園に到着するころには、すっかり打ち解けたご一行。お互いをいたわりながら、園内へと歩を進めます。「梅が見たかったけど、ひとりじゃちょっと不安で」と話す女性は、2年前に大病をして久々のツアー参加。満開の梅に迎えられ目を細めました。メジロが枝から枝へと遊ぶ姿に、思わず上がる歓喜の声。車いすでゆっくり園内散策、梅とスカイツリーをバックに記念撮影、茶屋で一休みと、思い思いのひとときを楽しみ、風が冷たくなる前にバスへ。車内では、この日が96歳の誕生日という方に、添乗員からプレゼントが手渡され拍手が沸きました。アットホームな空気に包まれ幕を閉じた「すみだ日帰り旅」でした。
 

◎参加者の声

中川雅子さん・英志さん 

「久しぶりに向島百花園に行きたいね」と、旅の計画は毎回主人。梅も満開でよかったです。

田極 滋さん(トラベルサポーターと)

毎年2回海外も行きますが、日帰り旅も好き。いつも自宅送迎のサポートも依頼しています。

岡野榮子さん 

もしも将来歩くのが難しくなっても、こういうツアーがあれば、ずっと旅を楽しめますよね。

誰にでもやさしい観光地「すみだ」の実現に向けて

墨田区長 山本 亨さん

東京2020オリンピック・パラリンピックの開催を控え、墨田区では国内外からの観光客のさらなる増加が予想されています。墨田区を訪れてくださるすべての方々への「おもてなし」を推進するべく、誰もが安全・安心に観光できる「すみだ」の実現に向けて、平成27年度よりユニバーサルツーリズムを推進しています。28年度の取り組みとして、旅行会社クラブツーリズム様と連携し、誰もが安心して楽しく観光できるツアーコースを造成しました。これからも「すみだ」ならではの魅力をご紹介する、さまざまな企画をご提案してまいります。皆さんぜひ、「すみだ」に遊びに来てください。

 

付加価値の高いツアーで「すみだ」の魅力を発信

クラブツーリズム株式会社 テーマ旅行部
ユニバーサルデザイン旅行センター
畑山 奈穂子さん

全てのお客さまにいつまでも旅を続けていただくこと」を願い、ユニバーサルデザイン旅行センターでは、杖・車いすご利用の方も安心して楽しめる旅の企画造成のほか、さまざまな自治体と力をあわせて観光振興のお手伝いをしています。完全なバリアフリー施設に限定せず、ツアーだからこそお連れできる付加価値を常にご提案。弊社ツアーでは、歩みのペースを杖をご利用の方に合わせます。車いすの方に少しお待ちいただく場面もありますが、自然に「お互い様」という雰囲気になることが自慢です。今後も墨田区の魅力をクラブツーリズムのツアーという形にして、皆さまをご案内したいと思います。

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