レポート
2023/02/16
<寄稿>
知的・精神障がい者に生きがいある就労を目指す
NPO法人AlonAlon理事長 那部智史
知的・精神障がい者の多くが通う就労継続支援B型の現状は、平均工賃15,776円/月、就職率は1.7%と、ほとんどの方たちが就職できずに低賃金のまま訓練施設内で固定化しています。(数字は厚労省発表数字)
AlonAlonはこの知的・精神障がいの方たちをお世話するのでなく、スキルを身につけて成長し、やりがいを感じて仕事ができ、最終的には親亡きあとも自立できる力をつけてもらうことを目指しています。
贈答用が中心で値崩れがおきづらい胡蝶蘭のマーケットに着目し、千葉県富津市に知的・精神障がい者が胡蝶蘭を栽培するAlonAlonオーキッドガーデンを運営しています。 私たちの農園では、職人の熟練による環境設定(温度、湿度、光、肥料等々)をコンピュータ制御で実現し、障がい者は胡蝶蘭を曲げる、わき芽を摘む、誘因作業等約60工程の根気と丁寧さが必要な手仕事に集中し、スマートアグリと障がい者の丁寧な手仕事を組み合わせることにより、高品質な胡蝶蘭を生み出しています。
また、栽培した胡蝶蘭を花卉市場に卸すのでなく、事業を応援してくれるお客様に直売することで、収益率をあげ、障がい者の賃金に還元していく生産→販売モデルを構築しています。 就労継続支援B型作業所の平均工賃15,776円/月(厚労省発表)に対して、AlonAlonで働く障がい者の工賃は月額5-10万円を実現、今では全国約3000もの方々から注文を頂くようになりました。
胡蝶蘭の国内市場は約360億円、様々な企業やパートナーの支援を頂くことで、胡蝶蘭市場全体の1/3約100億円を障がい者の仕事にし、多くの障がい者が就労B型の平均工賃15,776円/月の単調な仕事から脱出し、生きがいある仕事に就労することを目標にしています。
-
NPO法人AlonAlon理事長 那部智史
NPO法人AlonAlon理事長、 A& Aマーケティング会長
1969年東京生まれ。子どもが重度の知的障がいを持って生まれてきたことをきっかけに、AlonAlonの事業構想に至り、2013年NPO法人AlonAlonを設立。 2017年には日本財団の支援を得て千葉県富津市にスマートアグリを導入したAlonAlonオーキッドガーデンを開設。 2022年にはオーキッド千束台保育園を開園、あわせて障がい者の自立を目指したグループホームを開設した。 障がい者やそのご家族の将来の不安を解決し、生きがいのある安定的な未来を提供することを目指して日々奮闘を続けている。