レポート
2018/12/28
同じ風を感じ、心ひとつに タンデム自転車で走ろう
タンデム自転車に乗ったことはありますか?「二輪タンデム自転車」は、道路交通法上は公道を走ることを禁じられていませんが、各都道府県の公安委員会が「乗車人数の制限」を定めることができるため、地域によりその状況は異なります。今年4月、千葉県でタンデム自転車の公道走行が全面解禁になりました。現在県内では体験会やレンタルなどの取り組みも行われています。タンデム自転車の魅力と可能性についてレポートします。
日本最大のサイクルイベントでタンデム体験会を実施
去る11月10日、千葉県美浜区の幕張メッセで開催された日本最大のスポーツ自転車フェスティバル「CYCLE MODE international 2018」のイベントホール前で「タンデム自転車体験会」が開かれ、視覚障害者を主な対象とした午後の部に9人の方が参加した。タンデム自転車とは、2人乗り用としての構造を有し、かつペダル装置が縦列に設けられた自転車。2016年リオパラリンピックの銀メダリスト、鹿沼由理恵さんの活躍で知った人も多いのではないだろうか。当時はタンデム自転車の公道走行を解禁している都道府県が少なく練習場所に苦労したというが、視覚障害者も楽しむことができ、観光地での活用など地域活性につながることから注目され、2018年11月現在、23府県が公道走行を解禁。今年4月に解禁された千葉県は、関東地方では群馬県に次ぎ2県目となる。
この日の体験会ではNPO法人 サイクルボランティア・ジャパンのボランティアが、前に乗る「パイロット」を務め、視覚障害者が後ろに乗る「コ・パイロット」を務めた。「せーの」と息を合わせスムーズに発進、「左に曲がります」などの合図も飛び交い、親子や夫婦で参加した人も、力を合わせてペダルをこぐことでスピードを体感した。
視覚障害者対象のタンデム体験会に何度も参加しているという野村耕一さんは「千葉県の公道でも走れるようになったので、5月に館山から勝浦、茂原、銚子と走ってきた。ロードレーサーと同等のスピードで走れるのが魅力」と話す。「風を切る感覚が楽しい」という視覚障害者の大石千恵さんは「タンデムの公道走行が解禁されても道路が急に広がるわけではないので、今後ますます自転車も自動車も乗る人のマナーを高める必要があると思う」と述べた。
タンデム自転車 運転の注意点など
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- ●乗るときは前の人から、降りるときは後ろの人から
後ろの人を「回し蹴り」しないよう - ●車両感覚を身につけよう
小回りが利きにくく、速度が出やすい、事前にしっかり練習を - ●走り出す際、自転車は垂直に
後部座席の人は前をのぞきこまない、操縦しようとしない - ●声掛けが大事
発進、停止、曲がるとき、坂道などコミュニケーションを - ●安全対策をしっかり、交通ルールも確認
ヘルメットや手袋の準備を怠りなく
- ●乗るときは前の人から、降りるときは後ろの人から
- 〇道路交通法上「普通自転車」とは異なるため、歩道での運転はできない
- 〇一方通行等の道路で「自転車を除く」の補助標識があってもタンデム自転車は対象外
- 〇府県により年齢制限など一部ルールが異なることがある。運転する場所のルールについてもあらかじめ確認を