レポート
2020/02/21
リサイクルで「みんなの表彰台」を作ろう!
海洋プラスチックなど環境問題への意識が高まる中、私たちの身近な製品の使用済みプラチック容器を回収し、有効に再利用する注目のプロジェクトがあります。その名も「みんなの表彰台プロジェクト」。再生したプラスチックの用途は、東京2020大会の栄えある表彰台です。本プロジェクトに事業協力者として参画するプロクター・アンド・ギャンブル・ジャパン株式会社(以下、P&G)オリンピックチーム「みんなの表彰台プロジェクト」プロジェクトリーダー・田上智子さんに、プロジェクト誕生の背景や、この取り組みを通して同社が目指すビジョンについてお聞きしました。
身近なプラスチック容器から循環型社会への第一歩を
本プロジェクトは、公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会が主催し、私たちP&Gが事業協力者として活動させていただいております。実施までにはいくつかの背景があります。1つは「東京2020大会」が、スポーツを通じて持続可能な開発目標(SDGs)に本格的に取り組む初めてのオリンピック・パラリンピックであること。次に、国際オリンピック委員会(IOC)と、ワールドワイドパートナー契約を締結している弊社のコーポレートシチズンシップ活動の重要な柱として、全世界で持続可能な社会の実現に向けて取り組んでおり、製品パッケージに再生プラスチックや海洋プラスチックを利用するなどの取り組みを既に実施してきたことがあります。こうした背景から、大変に栄誉ある表彰台を製品のプラスチック容器などを回収して、リサイクルして作るということが決まり、昨年6月から回収をスタートしました。
回収場所は全国のイオングループ様で、約2000店舗の売り場内に専用回収ボックスを設置させていただいております。また昨年12月からは全国の小中学校、高校、大学などにも幅広くお声掛けさせていただいています。中には、教育活動の一環としてリサイクルなどについて調べ学習を実施後、皆で近くの店舗に出向き回収ボックスに投函したことを報告してくださった学校もあり、とても感激しました。本プロジェクトの目的は回収プラスチックを表彰台にリサイクルして皆さんにお披露目することですが、それ以上に、若い世代や未来を担う子どもたちが「自分も循環型社会に参加できる」ということを知るきっかけになれたら、一人ひとりの行動で、世界を変えることができるということをお伝えできれば、何よりの喜びです。
「みんなの表彰台」が2020以降も皆の心に残るように
P&Gは日用消費財メーカーとして世界約180カ国で事業を展開しており、環境保全への責任も、果たしうる貢献も大きいと考えています。2018年には世界共通の長期的ビジョン「Ambition2030」を策定し、さまざまな取り組みを進めています。日本での取り組みのひとつとして昨秋には、国内の海岸で回収したプラスチックごみを再生し、ボトルの原料として使用した台所用洗剤も発売しました。また、新たな取り組みとして世界的なリサイクル企業が開発した循環型ショッピングシステム「LOOP」にも参加します。使用済み製品をユーザーの自宅から回収し、専用容器を再利用する新たな仕組みで、パリとニューヨークでは既に試験運用が進んでおり、東京でもこの秋に予定されています。
環境保全や持続可能な消費について、世界はもちろん、日本の企業も学校も、社会全体が真剣に取り組みを始めています。若い世代の中でも「自分たちにできることは何だろう」と考える人が増えていることを、このプロジェクトを通して実感しています。私事ですが、中1の息子もこのプロジェクトのチラシを自分で作り、担任の先生に相談したところ、学校で印刷して全校に配布してくださり、生徒集会でプレゼンテーションのチャンスもくださったそうです。
2020年夏、表彰台に立てるのは世界のアスリートの中でも一握りです。でもその表彰台を皆さんも作ることができるのです!7月には必ず感動していただけることをお約束します。その体験が各世代の心に残り、自分のできることを継続する契機になればと願っています。ひとつの企業が魔法のように、世界を循環型社会に変えることなんてできません。一人ひとりの小さな一歩を積み重ねていくことが大切なのだと思います。現時点で、回収目標にあともう少し!東京新聞の読者の方がひとつでも回収ボックスに入れていただけたら、とても嬉しく思います。