レポート
2018/05/02
東京レインボープライド アライの声
誰もが自分らしく誇りを持てる社会を―vol.1
大切なのは他者への想像力
―電通ダイバーシティ・ラボ 研究員 阿佐見 綾香さん
2015年、日本におけるLGBT(性的少数者)の割合が「7.6%(13人に1人)」と発表された。全国20~59歳の個人69989名を対象にこの調査を行ったのは、電通ダイバーシティ・ラボ(以下DDL)。これまで見えない存在だったLGBTをデータで可視化した。「あなたの隣にもいるという感覚を伝えたかった」と話すのは、DDL研究員の阿佐見綾香さん。聴覚に障害があることから、ダイバーシティ(多様性)について、障害・ジェンダー・多文化・ジェネレーションの4つの領域で取り組むDDLに、自らの意思で参加した。「障害を理解されず辛いと感じていた自分も、DDLに入り、自分と異なる個性について理解していないことや偏見があると気付きショックだった」と、当時を振り返る。「この数年でLGBTに関する世の中の意識は大きく変わった。今後の課題は、アライ(LGBTを理解しようとする姿勢をもち、行動する支援者)を増やすこと。そのための新しい考え方として『SOGI』という概念を伝えたい。性的指向と性自認を意味する英語の頭文字から取ったこの言葉なら、みんなの課題として考えることができる」。
DDLでは、ダイバーシティをより身近に感じるきっかけを提供することを目指し、2017年11月に他機関と連携し「みんなのダイバーシティ調査」を実施した。15歳~70歳代までの全国の一般生活者978人を対象に日常生活の中で抱える「課題」について設問した結果、全体の約4割の人が日常生活の中で「暮らしにくさ」を抱えているという結果が出た。
「みんな何かのマイノリティ。その多様性をすべて理解することは難しい。大切なのは、自分とは違う人の気持ちや状況を想像する力、概念を常に壊しアップデートできる姿勢」と、阿佐見さんは言う。「何から始めてもいい、行動してみることで変化が起こるので」。
●PROFILE● 阿佐見 綾香(あさみ あやか)さん
電通ダイバーシティ・ラボ 研究員、株式会社電通 第2統合ソリューション局、チーフ・ソリューション・プランナー。本職であるマーケティングを専門としたプランナーの視点で、LGBTを中心として広がる消費に関する調査や研究を重ね、ダイバーシティに関する企業向け研修や講演、施策やアイデアなどソリューションを提供。みんなが楽しく暮らせるダイバーシティ社会の形成を目指す。
レズビアン(女性同性愛者)・ゲイ(男性同性愛者)・バイセクシュアル(両性愛者)・トランスジェンダー(心と体の性に不一致を感じる人)の頭文字をとった総称。あくまで代表的な呼称であり、LGBTの枠ではくくれない人もいる。
SOGI 【ソジ、ソギ】
「Sexual Orientation and Gender Identity (性的指向と性自認)」の頭文字から取った言葉で、すべての人について考えることができる概念。 誰もがそれぞれのセクシュアリティを持っているという考え方に基づく。