連載コラム

2022/08/30

今日は誰目線?

ハードが整っていない国で感じた「心地よさ」 

 先日、出張で初めてモンゴルを訪れました。車社会のモンゴルですが、交通ルールが曖昧で信号無視が多いなど、全盲の私が1人で歩くのは難しそうでした。また、道路はガタガタだったり、信号を渡る度に歩道と車道の間に大きな段差があったりと、ハード面は整っているとは言い難い状態でした。しかし一方で、日本とは違う「心地よさ」を感じることもありました。

 それはコンビニのレジでの出来事です。クレジットカードを店員さんに渡すと、さっと私の手を取り、暗証番号を入力する機械の上に置いてくれたのです。終わった後も私の手の中にカードを戻してくれました。これが日本の場合、「相手に不快な思いをさせないように」という思いやりからか、対応に戸惑う方が多いです。私も日本人なので、「困らせて申し訳ない」と感じてしまい、微妙な空気感が漂ってしまうことがあります。

モンゴルの歩道。レンガが剥がれて
ガタガタになってしまっているエリアも…

 

  一方でモンゴルの方の対応は必ずしも正解とは言えないですが、躊躇なくさっと手を掴んでくれる姿勢がなんだか心地よく感じました。もし手を触られるのが嫌だった場合も「こうしてほしい」という要望を伝えやすそうな空気感でした。ハードの面では日本の方が遥かに生活しやすいですが、ソフト面の対応の心地よさからか、モンゴルにはまた行きたいと思う魅力がありました。

●原口 淳

株式会社ミライロ

ビジネスソリューション部

ユニバーサルマナーチーム 講師

生まれつき全盲という視覚障害者の視点から、全国の企業・自治体・学校などで講演を行う講師。

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