連載コラム

2022/06/23

今日は誰目線?

国籍、年齢、身体特性などの多様性を力に、社会に新たな価値を創造する(株)ミライロのメンバーが、リレー形式で登場しそれぞれの視点で執筆します。

必要なのは言語や手段よりも「向き合う姿勢」 

 私には聴覚障害があります。元々は耳が聞こえていましたが、病気の後遺症で段々と聞こえにくくなり、最終的には聞こえない状態になりました。聴力が低下するにつれてコミュニケーションに困難を感じ、聞こえる人達の会話に入れないもどかしさや寂しさを感じることが増えました。

 そんなある日のこと。駅のホームでバックパッカー風の外国人から突然声をかけられました。路線図を指差していたので尋ねられていることは理解できましたが、相手が何語を話しているのかもわからず、不安ながらに「I’m Deaf.」と伝えました。するとその人は、一瞬戸惑ったような表情を浮かべたものの、すぐにスマートフォンを取り出し、多言語翻訳アプリで変換した日本語の文章を見せてきました。相手の意図を理解した私も、同じように自分のスマートフォンに文章を打ち、無事に道案内をすることができました。

 

 その方と別れた後、私は口元に笑みを浮かべていました。私が聞こえないとわかった瞬間に、他の人へ尋ねることもできたのに、臆せず自然体で、私とコミュニケーションを取り続けてくれたことが嬉しかったのです。大切なのは言語や手段だけではなく、相手とコミュニケーションをとろうとする気持ちや姿勢なんだと、コミュニケーションの本質を改めて学んだのでした。

●薄葉 ゆきえ

株式会社ミライロ

ビジネスソリューション部 ユニバーサルマナー講師

聴覚障害のある講師として、「外見からは見えにくい障害」に対する理解を中心に、全国の企業・自治体・学校などで講演を行う。

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