連載コラム

2017/07/28

「伝え方」を考える

4年前、銀座のレストランで車いすユーザーが入店できなかったことが話題となりました。先月は、航空会社の車いすユーザーへの対応が問題視されました。同じ頃、私も恵比寿の飲食店で、車いすの使用を理由に入店を拒まれることがありました。運営会社へ、ことの経緯と一顧客としての希望を伝えたところ、丁寧に対応いただきました。私が冷静でいられたのは、当事者目線と併せ、経営者としての視点があったからだと感じます。どのような業種でも、障害の有無に関わらず、分け隔てなく対応すべきであることは論をまたないでしょう。とはいえ、限られた人員の飲食店で、車いすを運ぶことは難しいかもしれません。航空会社であれば、多岐にわたる運航規定を遵守し、乗客全員の安全を確保しなければなりません。企業にとって、お客様は、皆、お客様ですから。

 日常生活に多くの不自由や不便を感じる障害のある方が、企業の姿勢や対応に思いの丈をぶつけることは自然なことであり、よりよい社会を実現するためには必要なこと。しかし「伝え方」次第では、その思いが届かないこともあります。同じお店へ足を運ぶ人、同じ飛行機へ乗る人のことを考えると、「伝え方」も穏やかになり、結果的に、多くの企業や人の心に届く、と感じています。

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