レポート

2019/04/04

子育ても、働き方も 自分らしい選択を

子連れ勤務中のスタッフ。抱っこでの接客もレジも慣れたもの

 4月1日から、「働き方改革関連法」が順次施行されます。皆さんは、自分自身の働き方について考えたり、家族や友人と話し合ったことはありますか。例えば「出産した女性が、子どもと一緒にいたいけれど仕事もしたい場合、“子連れ出勤”は働き方の選択肢のひとつ」と提案するのは、授乳服メーカー「モーハウス」の代表取締役・光畑由佳さん。すべての人が、いきいきと自由に輝けるために。21年前に同ブランドを立ち上げた思いや、授乳服を通して目指す社会についてお聞きしました。


お母さんたちが安心して 外出を楽しめるように

有限会社モーハウス代表
光畑由佳さん

  授乳服を作ろうと思ったきっかけは、自分の子育て経験です。2人目の子どもを産んだ後に、生後1カ月の次女を連れて電車で移動した際、次女がどうにも泣き止まず電車の中で授乳せざるを得なかったという経験をしました。乳児と出かけるためには母乳をあきらめてミルクにしなきゃいけないのかと考えたときに、これは私だけじゃなくきっと多くのお母さんが経験しているはず。授乳がどこでもできればこの問題は解決できるんじゃないか、と思ったんですね。社会を変える力もないし、自分で手に入れられる方法を考え、授乳服を作ろうと思いました。「着る授乳室があれば、どこへでも行ける!」という発想です。21年前だったので日本にはまだ授乳服というものがなく、パソコン通信で海外の情報を集めましたが、パジャマのようなものばかり。外に着ていけるものはなく、結局、自分でデザインしました。一番こだわったのは、授乳していることが周囲から気付かれない構造。ただ穴があいていればいいわけではなく、肌を見せずにさっと授乳できて、それを着ることで赤ちゃんと一緒にお出掛けしたくなる授乳服です。赤ちゃんの肌に危険なボタンやファスナーを取り除き、肌触りのよい素材と縫製を追求、マタニティ期から授乳期が終わっても着られるデザインを目指しました。
 母になった女性は自分のことを後回しにしがちです。授乳期間なんて一時だし、とあきらめてしまう。その意識が変わることが大事だと思いました。赤ちゃんと2人きりで家にこもってしまわないように、お洒落をして、お出掛けもして、子育てをもっと自由に楽しんでほしい、そんな思いをこめて私たちは「モーハウス」の授乳服を作っています。

誰もがより幸せな働き方を選べる社会へ

 「モーハウス」では、21年前から「子連れ出勤」という働き方も取り入れています。私自身、子育ても仕事も両方やりたかったから、欲張ってやってきましたけれど、本当に大変でした。当たり前のように両立を求められている今のお母さんたちこそ、ものすごく大変で苦しんでいる。男性も女性も、もっと幸せに、子育ても仕事も両立できる方法があるはずです。その選択肢のひとつとして、モーハウスでは「子連れ出勤」を実践しています。妊娠したり赤ちゃんが生まれてから入社して、子どもが歩き始めたり、保育園が決まって卒業するスタッフもいます。「ここで働いていたから二人目を生みたいと思えた」というスタッフも少なくありません。
 昔は農家でも商店でもお母さんは働きながら、家族みんなで、地域社会で子どもを育てていたはずですよね。もともと社会の中にあった暮らしが切り離されてしまったのは、ここ数十年だと思います。特に東京の働き方で子連れ出勤となれば、通勤ラッシュの現実があります。でも、地方でマイカー出勤する環境なら、そのハードルは下がります。地方よりも東京のほうがよい仕事がある、中小企業よりも大企業のほうが制度が整っていて働きやすいという、これまでの価値観が、子連れ出勤しやすいかどうかで考えると、ひっくり返る。中小企業や地方都市の可能性が見えてきて、すごく面白いことだなと思っています。「モーハウス」の授乳服や子連れ出勤という働き方を通して、そんなことも穏やかに発信できるといいなと思っています。


●PROFILE● 有限会社モーハウス代表 光畑由佳さん

お茶の水女子大学被服学科卒業後、流通企業に就職。美術企画、建築関係編集者を経てフリーランスに。1997年、授乳服メーカー「モーハウス」の活動を始める。つくばと青山の直営店ほか百貨店や産院、オンラインショップで販売展開。女性、企業、学生に向けての講演多数。茨城大学社会連携センター特命教授、筑波大学大学院非常勤講師、茨城県少子化対策審議会委員ほか兼務。

 

モーハウス青山ショップ

授乳、試着、イベント、子育て情報交換も

 お店のコンセプトは「まちかど保健室」。子連れでもゆっくりお買い物をしていただけるよう、授乳やおむつ交換もできるベッドを置くなど工夫をしています。試着やおしゃべりを心ゆくまで楽しんでください。これまでの最長滞在時間はなんと5時間!授乳服があれば行動範囲が広がります。贈り物探しや育児講座のご受講のみも大歓迎です。ぜひお気軽にお立ち寄りください。

モーハウス青山ショップ店長 勝政美紀さん
大学卒業後は音楽活動をしながら販売スタッフとして勤務。結婚と出産を経て、08年からモーハウス青山ショップに勤務。09年から店長に。11歳と5歳の男の子のママ。


 新作ショーツ発売記念!「女性のカラダに最適なインナーとは? ストレスのない身体づくりの為に今できる事!」を4月23日(火)、26日(金)各2回開催。その他、プレママ講座や抱っこ講座など各種イベント開催中。 詳しくは青山ショップHPまで

  • <住所> 東京都渋谷区渋谷2-10-16 池川ビル1F
  • <TEL/FAX> 03-3400-8088
  • <営業時間> 10:00~19:00(年中無休・臨時休業あり)
  • <アクセス> JR、東京メトロ、東急線「渋谷駅」15番出口より徒歩7分、東京メトロ「表参道駅」B3出口より徒歩9分青山通り沿い

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