連載コラム

2021/03/04

今日は誰目線? 言葉を変えて、概念を変える

国籍、年齢、身体特性などの多様性を力に、社会に新たな価値を創造する(株)ミライロのメンバーが、リレー形式で登場しそれぞれの視点で執筆します。


言葉を変えて、概念を変える

 一昨年にリリースした障害者手帳アプリ「ミライロID」にクーポン機能が実装されました。アプリで掲示できる新しい障害者割引です。ミライロ ID を開発した背景は、人前で障害者手帳を見せることに抵抗があったためです。小学校から一般学級に通っていた私は、自分だけ「障害者」というレッテルを貼られたような気がしていました。彼女とデートに行った映画館でも、「障害者割引で」とは言えませんでした。望んでいなかったはずの特別扱いを自らお願いしている、そんな感覚があったからです。

全盲の社員がミライロクーポンを使う様子


 また、企業の中には戦争で負傷した方々を対象としていた頃の障害者割引という概念がまだ残っているように感じます。「お金がないから、働けないから」という理由ではなく、障害者を一つのマーケットとして捉え、「また来てほしいからクーポンを出す」。そう考え方を変えるだけで、企業と障害者の距離が縮まるような気がしています。
 障害者手帳という言葉をミライロ ID に、障害者割引はミライロクーポンに変えていくことで、新しい概念を広めていきたいと強く思っています。お店のバリアフリーは完璧ではないけど、来てほしいからクーポンを出す。そんな社会になれば、未来の子どもたちはきっと胸を張って人前でも使ってくれることでしょう。


●垣内 俊哉
株式会社ミライロ 代表取締役社長。障害を価値に変える「バリアバリュー」理念のもと、車いすに乗る高さ106cmからの気づきを発信。

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