連載コラム

2019/04/08

垣内俊哉「106cmの視点から」

平等から公平な時代へ

 平成元年4月14日。新しい元号になって数カ月後、私はこの世に生を受けました。自分の年齢に1を足せばすぐに和暦がわかる、ちょっとだけ便利な年齢です。元号が変わるからといって、なにかが終わるわけではありませんが、この計算式が成り立たなくなることは少し寂しく思います。

 私は何度か死の淵に立つも、ありがたいことに今日も生きていて、30年を駆け抜けることができました。振り返れば、車いすに乗っていても受け入れてくれた幼稚園、学校がありました。一歩外へ出れば、交通機関のバリアフリー化は進み、できることの幅が広がりました。改めて、恵まれた時代に生きていることを実感します。

 平成の「平」が表すように、この30年は障害者をはじめ、多様な方が平等に暮らせる社会作りが進みました。昨年話題となった障害者雇用の水増し問題が表すように、まだ働く機会は均等ではありませんが、一定の社会保障は確立されました。ただし、平等になるだけでは、住みよい社会とは言えません。これからは皆が同じように学べる、働ける、楽しめる機会を充実させなければいけません。つまり、公平さです。一歩踏み出せば、歩み続けること、走り続けることができる、そんな新たな時代に期待し、また駆け抜けたいと思います。


●PROFILE● 垣内 俊哉
1989年生まれ。岐阜県中津川市出身。2012年立命館大学経営学部卒業。在学中2010年に株式会社ミライロ設立。

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