連載コラム

2019/08/02

垣内俊哉「106cmの視点から」

知っているだけで、できること

 満員電車に乗るのは、気が引けます。車内でスペースを譲ってもらったり、降りる際は入り口付近を空けて待ってもらったりするからです。肩身の狭い思いをしているのは、障害のある人だけではありません。ベビーカーを押している親御さんも同じのようです。ベビーカーであればまだ知名度がありますが「子ども用車いす」をご存知でしょうか。べビーカーと違って折り畳みできず、かなり重いので、そのまま電車へ乗り込むことになります。ベビーカーと間違われていないだろうか、マナー違反と疎まれないだろうか、と不安に感じる親御さんがかなり多いと聞きます。先日、大阪の地下鉄の駅で認知度を上げるためのポスターを見かけました。

 話は変わりますが、私は昔から、小さな子どもに懐かれます。車いすに乗る私と、目線が近いからだと気付いたのは最近のことです。目が合ったら、思わず手を振ったり、微笑み返したりします。ある女性が「子どもがバスでぐずり出して困った。でも周りの乗客が、赤ちゃんかわいいですね、と笑って話しかけてくれるだけで、ずいぶん心が軽くなった」と私に言ってくれ、嬉しくなりました。知っているだけで、一言声を掛けるだけで、私たちにはできることがあります。


●PROFILE● 垣内 俊哉
1989年生まれ。岐阜県中津川市出身。2012年立命館大学経営学部卒業。在学中2010年に株式会社ミライロ設立。

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