レポート

2019/12/02

<寄稿>横浜音祭り2019 インクルージョン事業③
『音と光の動物園』親子で楽しむインタラクティブワークショップ

 横浜の「街」そのものを舞台とした日本最大級の音楽フェスティバル「横浜音祭り2019」が9月15日から約2か月間にわたり開催されました。今回、「クリエイティブ・インクルージョン」がコンセプトの一つとして掲げられ、国籍、ジェンダー、世代や障害の有無を超えてあらゆる人に音楽の楽しみをお届けする取り組みが行われました。5つのインクルージョン事業に携わった5名の方がレポートします。


<寄稿>東京藝術大学COI拠点特任助手 佐藤宏美

 10月5日土曜日、横浜みなとみらいホールで『音と光の動物園 親子で楽しむインタラクティブワークショップ』が開催され、6歳から10歳までの小学生と家族40人が参加した。このワークショップは、美術から、音楽、映像、デジタルアートまで広範な芸術と触れ合うことで、発達障がい児の隠れた能力をいち早く見つけて「居場所」を作ること、子どもの自発性・表現力を引き出して豊かな感性を育むことを目的とするもの。

  最初に子ども達は、自分で選んだ動物の頭・手・脚・尻尾などのパーツに、クレヨンやシールで色をつけた。脚の色がそれぞれ異なるゾウ、熱帯魚のようなカラフルな魚、真っ赤なたてがみのライオンなど、思い思いの色、模様に塗り分ける。素早く塗って2つ目に挑戦する子。話しかけられても応えず机に顔を近づけて一本一本丁寧に線を描く子。皆それぞれに集中した様子。

 デジタルアートコーナーでは、障がい児の教育のために開発されアプリ3種類を体験。例えば、「コケコッコー」と書かれたカードにiPadをかざすと、ニワトリのCGアニメーションが現れ、本物の鳴き声が聞こえる。鳴き声の他に動物の形態を表すオノマトペ・カードも。「いろんな鳴き声が聞こえて、動物園にいるみたい」とはしゃぐ子、床に広がるカードを全て制覇しようと先を急ぐ子、1枚のカードで何度も試す子など。「ひらひら」のカードにiPadをかざした子は、蝶々のアニメが現れるけれど無音なので何度も試してみてから、「そうか、蝶は鳴かないし、静かに飛ぶもんね」とつぶやいていた。

 ドラムサークルには、会場の全員が参加。テンポの良い進行に、太鼓に向かって座る子どもたちがどんどん活気づき、全身でリズムに乗っていく。最初は気のりしない様子だった男の子が、気づくと誰より夢中になっていた。カスタネットや鳴り物を手にした保護者や見学者たちの表情も次第に緩み、最後は会場中が一体となって、笑顔があふれた。

 華やかな衣装のアンサンブルが登場して、クライマックスのコンサート。『動物の謝肉祭』の演奏に合わせて、子どもたちが最初に作ったペーパークラフトの動物がアニメーションとなって映し出されると、驚きの声が上がった。中央に座る男の子は、自分のつくったライオンが画面に現れる度に、その歩調に合わせてジャンプ。父母たちは盛んにスマホを頭上にかざしていた。

 このワークショップは、東京藝術大学COI拠点のインクルーシブ・アーツ研究グループと共感覚メディア研究グループの共同技術開発に基づくもの。5年をかけて改良を重ね、企業や学術・文化組織とともにパッケージ化して、各地で実施している。横浜みなとみらいホールでの開催は3回目。来年は、渋谷区、横須賀市、金沢市、姫路市などでも実施が予定されている。


横浜音祭り(ヨコオト)公式サイト https://yokooto.jp/

関連記事