連載コラム

2021/08/03

今日は誰目線?

人工内耳の対外装置。丸い部分は頭に埋め込んだ受信装置と磁石でくっつく。 

国籍、年齢、身体特性などの多様性を力に、社会に新たな価値を創造する(株)ミライロのメンバーが、リレー形式で登場しそれぞれの視点で執筆します。


聴覚障害のある妻と人工内耳と私

 私の妻には生まれつき聴覚障害があります。出会いは大学の手話サークル、当時流行っていたドラマの影響を受けて入部したことがきっかけでした。耳が聞こえないと大変だと思う人もいるかもしれませんが、相手がお風呂やトイレに入っている間に外出する際は電気をパチパチと消灯させるなど、我が家ならではのルールがあり楽しく生活しています。  そんな私たちの生活に新たな相棒が加わったのは3年前、妻が人工内耳の手術をしてからです。人工内耳とは頭に取り付ける機器のことで、音の信号を脳に直接伝えることができます。最近は技術の進歩により、にぎやかな場所で会話に集中しやすいよう、後ろの音を拾わないようにしたり、スマホから音楽を聴いたりできる機能があります。ただし、人工内耳に直接音を飛ばすので音楽を聴いていることが分からず、話しかけても反応がないということも何度かありました。今は音楽と周りの音の聞こえる割合を変えることができると判明し、音楽を聴きながら会話するなど夫婦でどんどん使いこなしてきています。

人工内耳の対外装置。丸い部分は頭に埋め込んだ受信装置と磁石でくっつく。


スマホと連動してボリュームや音楽などの調整ができる。

 ちなみに人工内耳を使うようになり、一番驚いた音は私のいびきだそうです。 「こんなにうるさいとは」と結婚3年目で初めて苦情を言われました。世の中の皆さんはどうされているのか、最近ずっと気になっています(笑)。


●滝田 裕一
株式会社ミライロ ユニバーサルマナー部 ディレクター 。

妻は生まれつき耳が聞こえない。自身の経験を活かしながら、検定の運営や障害のある講師の育成などを担当。

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