連載コラム

2022/05/26

今日は誰目線?

国籍、年齢、身体特性などの多様性を力に、社会に新たな価値を創造する(株)ミライロのメンバーが、リレー形式で登場しそれぞれの視点で執筆します。


視覚障害のある友人を通して気づいたこと 

人生観を変えてくれた「一歩踏み込んだお声かけ」 

 車いすで生活する私はずっと、できる限り自分の力で解決することが「自立」と考えていました。手助けの申し出をもらっても、反射的に「大丈夫です」と答えることが多かったです。しかしある出会いがきっかけで、自分自身が社会との隔たりを生み出している場合もあることに気づかされました。

 まだ東京に不慣れな頃、都内の美術館から駅までの下り坂に苦戦することがありました。不安定に進んでいると、道行く男性が「駅の方に行くのか?後ろ掴もうか?」と声をかけてくれました。しかし申し訳なさからいつも通り「大丈夫です」と返事をしました。それでも私の疲労感を感じた男性は、「俺も掴む場所あると楽だし、押させてよ」と、更に踏み込んだ言葉をくださったので、お願いすることになりました。駅までの道のりは暖かい心に触れ、これまでに感じたことがなかった居心地の良さがありました。

 その出会いを機に、自分だけで解決することは時に、自らが人や社会との間に壁を作ってしまう一面もあると気づかされました。声をかけてもらえたら頼りにする。困ることがあればお願いする。あの日のお声かけで「自分も歩み寄る」ことの大切さを私は知りました。お互いが無理のない程度に頼りにする積み重ねが「インクルーシブな社会」の実現に繋がるんだと今は思います。

都内のとある坂道。スマホで見つけた近道が「急すぎる」こともしばしば


●藤田 隆永

株式会社ミライロ ビジネスソリューション部クリエイティブチーム

デザイナー車いすユーザーのデザイナー。障害のある当事者の視点を生かし、デザインを通してインクルーシブ社会を広げる

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