インタビュー
2021/01/15
ー1月17日は防災とボランティアの日ー 我が街を知り つながり合う
社会福祉法人 荒川区社会福祉協議会
浅野 芳明さん 稲葉 隆裕さん
今年は東日本大震災から10年目の年。防災や防災に関するボランティア活動への関心も高まっているのではないでしょうか。東京都荒川区で、子どもや高齢者、障害のある方々とともに防災をテーマに街を歩く「ユニバーサルウォーク」を主催する社会福祉法人 荒川区社会福祉協議会の浅野芳明さんと稲葉隆裕さんに、災害に強い街づくりについてお話を聞きました。この機会に、自分の暮らす地域の防災について考えてみませんか。
下町だからこその助け合いの心
― 荒川区の地域としての特徴を教えてください。
浅野 荒川区は木造住宅が密集しており、東京都の「地震に関する地域危険度測定調査」でも危険度ランクの高いエリアです。そのため阪神淡路大震災以降、区民は防災に対し非常に関心を持っています。また下町ならではの人のつながりが残っている地域でもあり、「ご近所さんが心配で」と気に掛けてくださる方がたくさんいることが特徴です。
― 「ユニバーサルウォーク」の成り立ちについて教えてください。
稲葉 2003年に当協議会の法人化40周年を記念し、あらかわボランティアネットワークと協働で「バリアフリー」をテーマに地元の史跡などを巡るウォークラリーをスタートしました。2005年にテーマを「防災」に改め、東日本大震災の後は「防災ユニバーサルウォーク」と名称を変更。今年度は新型コロナウイルスの影響で中止となりましたが、これまでに16回開催してきました。
― どのような方が参加していますか?
稲葉 まず町会、自治会、民生委員、ボランティア団体などに声掛けをし、リーダーとなる方を幅広く募り研修を行います。一般参加者を10名くらいのグループごとにそうした「住民リーダー」が引率し、街の危険な場所、避難場所、災害時に役立つ場所などを巡るという流れです。最近では、防災訓練に参加したことがない方も気軽に参加できるよう、クイズラリーを盛り込んだり、地元の小学生のイラストでチラシを作成するなどの工夫もしました。
浅野 荒川区はここ数年で子育て世代を中心に人口も増え、30、40代の方が地域に目を向けてくれるのを感じますね。
稲葉 ある町会で有志のお父さんたちが防災青年部を立ち上げた事例もあります。「我が子や家族を守るためには地域を守らなければ」と。
防災をきっかけに住みやすい街を
― 今後「ユニバーサルウォーク」をどのように発展させていきたいですか。
稲葉 昨年度は子どもたちを中心に高齢の方、障害のある方、外国の方など幅広く参加してもらうことができました。避難所となる学校のスロープが車いすユーザーには狭いことがわかり、行政に報告し改善された実績もあります。参加者の気付きを次のステップにつなげていくことで、「皆が暮らしやすい街」に少しでも近づけていけたらと思っています。
浅野 「防災」は世代を超えて誰もが関心を共有できるテーマ。多様な人が参加してくれることがとても重要です。
稲葉 荒川区は外国人の方も多く暮らしています。自分の街にさまざまな人が住んでいることを実感しながら、交流を深めていきたいです。
浅野 新型コロナウィルスの影響で、避難所の密を避け在宅避難が必要になる場合もあります。自分の暮らすエリアの状況を知っておく必要は増していると感じます。
稲葉 災害が起こったときに孤立しないよう、事前につながっていることが重要ですよね。
― 自分の住む地域のために何かしたいと思ったらどうすればよいでしょう。
稲葉 ぜひ、地元の社会福祉協議会(社協)を訪ねてみてください。社協は各地の行政と住民の橋渡し役。ボランティアセンターを運営している場合が多いですし、そうでない場合は運営団体につないでくれるはずです。
浅野 災害が多い日本では年々ボランティアの力が求められています。屋根の修理など専門スキルのある人だけでなく、被災者の話を聞き寄り添ってくれる人、子どもの遊び相手になってくれる人、誰もが誰かのためにできることがありますよね。