インタビュー
2018/02/28
映画「ナチュラルウーマン」主演女優ダニエラ・ヴェガさん独占インタビュー
Daniela Vega
ダニエラ・ヴェガさん
違いを認め合い誰もが自分らしく
2月24日より公開された映画「ナチュラルウーマン」。トランスジェンダーである主人公マリーナを演じるのは、自身もトランスジェンダーで歌手のダニエラ・ヴェガさんです。映画の公開に先立ち、緊急来日したダニエラさんに、この映画の見どころと、作品を通して伝えたい大きなメッセージをお聞きしました。
Q:この作品に出演するまでの経緯を教えてください。
監督のセバスティアンとは会った瞬間に波長が合いました。「チリのトランスジェンダーの話を聞きたい」と、知り合いを通して連絡があり、何度も会って話をしました。「どんな映画を見た?」、「どんな本を読んだ?」。でもそれはただの友人として。彼が新作を撮ることは知っていたけど、トランスジェンダーが主役だとは一度も言わなかった。
一年半後に脚本が送られてきて、読み終えてドイツに電話すると「主役は君だよ」。「イエス」と即答してから3日間飲み歩き、ひどい二日酔いから覚めて、改めて脚本と向き合いました。そこには、私が「こう生きたい」と思う人生があった。トランスジェンダーであること、オペラ歌手であること、私が監督に話したエピソードなど、自分と似ている要素があるという意味ではなく、私が「人生をこんなふうに見たい」と思う視点がこの脚本の中にあると気付きました。
Q:本作のテーマでもある「自分らしく生きる」とは?
トランスジェンダーに限ったことではなく、差別を受けている人たちは世界中にいます。性別、人種、宗教や文化、さまざまな違いをお互いに認め合うことができなければ、誰もが自分らしく生きることなどできません。
自分らしく生きるためには、自分のことだけでなく、人は一人ひとり皆違うということを考えることが大切です。人間が多様であることを認め合い、受け入れ合えれば、私たちはもっとオープンになれるし、幸せになれる。そのための最初の一歩は「思考の限界を広げる」ことです。
Q:これから映画を見る人にメッセージをお願いします。
この作品が皆さんの考え方を少しでも広げるきっかけになればうれしく思います。今は見えなくても雪の下には花がある。それを誰が見付けてくれるのか。
先を行く人たちが、そこに花があることを知り、踏みにじることなく歩いて行けば、次の世代はそれを受け入れ、共感し、より自由に歩いて行ける。次世代に早く春が来るような足跡を一人ひとりが残すことができたら、社会はきっとよくなると思うのです。
シネスイッチ銀座、新宿シネマカリテ、YEBISU GARDEN CINEMAほか全国で公開中
©2017 ASESORIAS Y PRODUCCIONES FABULA LIMITADA; PARTICIPANT PANAMERICA, LCC; KOMPLIZEN FILM GMBH; SETEMBRO CINE, SLU; AND LELIO Y MAZA LIMITADA
プロフィール
1989年サンティアゴ生まれ。8歳でオペラ歌手としての才能を認められる。高校卒業後、ヘアスタイリストとして働く傍ら、地元の劇団で演技をスタート。本作で驚くべき才能を開花。ベルリン国際映画祭で絶賛を博し、世界で脚光を浴びる。次回作ではストレートの女性を演じ、女優として新たな一歩を踏み出している。