インタビュー
2022/05/26
障害があっても、なくても 友達になろう!一緒に歩こう!
一般社団法人 インクルーシブデザイン協会 代表理事
国宝 孝佳さん(こくほう たかよし)
5月27日13時から東京の錦糸町で、障害のある人とない人、約100人がごちゃまぜになって街を歩くパレードが開催されます。「本当の意味でのダイバーシティ(多様性)&インクルージョン(包括)を実現するには、友達になるのが一番早い!」と語るのは、このイベントを主催する一般社団法人インクルーシブデザイン協会 代表理事の国宝孝佳さん。同協会が取り組むインクルーシブデザインについて、そして初開催となる「インクルーシブパレード」に込めた思いを聞きました。
わくわくドキドキの初開催を見守って
このパレードのアイデアは、2021年1月くらいに生まれました。当時の丸井有楽町店のフロアマネージャーが、ある車いすユーザーの方との対談の中で、「車いすでパレードをしたら面白いんじゃない」と盛り上がったそうで、知り合いである僕のところに「実現してほしいんだけど」って話がきたんですよね。
実は昨年の9月開催に向けて準備が進んでいたんですが、東京に4回目の緊急事態宣言が発令されて延期になり、満を持しての初開催です。当日参加も大歓迎なのですが、うれしいことにすでに100人が参加表明をしてくれているので、もしも満員御礼の場合は付かず離れずなところから見守っていただけたら大変ありがたいです。
インクルーシブに企画したコンセプトは「友達」
僕はもともと理学療法士として大阪市内の総合病院に勤務していました。当時からものづくりが好きで、100円ショップで買ったサスペンダーを短く切って両端にクリップをつけ、ズボンのウエスト部に取り付けることで、麻痺のある手でも簡単に上げ下げできるアイテムを作ったりしていました。患者さんにプレゼントしたら、トイレ自立が可能になり自宅に帰れた人もいました。
僕はもともと理学療法士として大阪市内の総合病院に勤務していました。当時からものづくりが好きで、100円ショップで買ったサスペンダーを短く切って両端にクリップをつけ、ズボンのウエスト部に取り付けることで、麻痺のある手でも簡単に上げ下げできるアイテムを作ったりしていました。患者さんにプレゼントしたら、トイレ自立が可能になり自宅に帰れた人もいました。
でも病院で働いていた時は、車いすユーザーの「友達」は一人もいなかったんです。理学療法士として障害のある人たちと関わっていながら、どこか違う世界の人だと思っていたんでしょうね。自分も含め社会を変えたいと思いインクルーシブデザイン協会を立ち上げました。当協会にこのパレードの企画をいただき、仲間と考えたコンセプトは、「障害のある人もない人も友達になれるイベント」。当日はパレードが始まる前から集合場所でわいわい友達になっちゃうことが目標です。天気はちょっと心配ですが、雨もまたそれなりのコミュニケーションを生むので、とにかく楽しみです。
世界にはまだまだ「のびしろ」が無限にある
インクルーシブパレードを通して、実はもうひとつ伝えたいことがあります。車いすユーザーが、車いすに乗っている友人と出掛けるとしたら? 公共交通機関は車いす1台ならスムーズに対応してもらえるけれど、2台だったらどうなる?ホテルにユニバーサルルームが1室しかなかったら? 劇場や競技場に車いすのグループや団体に対応できるスペースはある? 障害があってもなくても、友達同士であたりまえに心地良く暮らせる社会を考えるきっかけを作れたらと思っています。
障害のある人や左利きの人など、これまでのものづくりの過程で対象とされなかった人たちを入れてデザインし直すと面白いものができる、それがインクルーシブデザイン。片手しか使えない人とインクルーシブにカバンをデザインしたら、誰もが使いやすいユニバーサルデザインになることもある。プロダクトだけでなく企画やコンセプトなど、なんでもちょっとインクルーシブするだけで、ものすごくスパイスになる。世の中にはまだまだのびしろがあるということに気付いてもらえたらと思います。
まずは初開催の「インクルーシブパレード」を安全に開催し、来年は大阪で、そして5年後には全国で10万人の参加者を目指しています。
INCLUSIVE PARADE! 5/27(金) 13:00〜
場所:墨田区立錦糸公園~マルイ錦糸町店 周辺
錦糸公園を出発し、約1時間パレードをします。障害のあるなしに関係なく、どなたでも自由に参加ができるので、「ぜひ参加したい!」という方は、当日12:00に錦糸公園(半蔵門線錦糸町駅4番出口すぐ)にお集りください。
※予定人数を大幅に超過した場合、パレードには参加いただけない場合もあります。
EVENT
場所:マルイ錦糸町店 5F「ミライロハウス TOKYO」
5/27(金) 18:00〜
車いすで活躍する3人のトークショー 全国車いすユーザー首脳会談!
車いすで活躍する3人によるトークショー。「インクルーシブな未来を考えよう」をテーマに、それぞれの経験談や熱い想いをたっぷりお聞きします。
(左から)シンガーの小澤綾子さん、車いすトラベラー三代達也さん、車いす女子牧野美保さん
5/28(土) 13:00〜
口描きアーティスト 前田健司さん ライブアート!
2009年、サーフィン中に事故に遭い頸髄を損傷、両手足は完全麻痺で、口を使って作品制作するアーティスト前田健司さん。当日は皆さんの前でライブアートを披露します。
5/29(日) 14:00〜
デジタルアートでリハビリ体験デジリハブース開始!
デジリハとは、リハビリの専門職が開発監修した新しいリハビリツール。デジタルアートに手を伸ばしたり追いかけたり、楽しくリハビリにつながる動きを体験してみよう!
- お出掛けの際は、政府や自治体、イベント主催者より発表されている新型コロナウイルス感染対策をご確認いただき、ご協力をお願いいたします
プロフィール
1984年大阪生まれ。理学療法士。2008年より大阪市内の総合病院リハビリテーション科に勤務。20年(一社)インクルーシブデザイン協会を設立。障害者の特性をプロダクトやサービスデザインに還元し、障害者の就労と新たなデザイン手法を広める。